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2017年2月11日土曜日

整理しなおして書き直すとき

卒論・レポートなど、長い文章を書き上げても、なんとなく内容が整理されていないとき、作文の推敲レベルを超えて、もういちど整理しなおして書き直す必要が出てきます。論文形式の文章を整理しなおしながら書き直すときには、パラグラフ・ライティングを意識して構成を組み直すと整理されます。

ひとまず、以前にも挙げた、以下の参考文献の該当箇所に目を通してください(実習室にあります)。

  • 倉島保美『論理が伝わる世界標準の「書く技術」』講談社ブルーバックス、2012年(pp.26-32)

だいたい、パラグラフ・ライティングについて分かりましたね?では、自分の書いた原稿のファイルを開きましょう。

まず、目次をみます。なんども言っているように、論文にとっての目次はページ数を知らせるためだけのものではなく、構成を示すものです。各章のタイトル、各章内の各節のタイトル。それらをみながら、自分で全体の流れをきちんと他人に対して説明できるでしょうか。

次に、各章には、リード文は書かれていますか?リード文とは、その章に書かれてある内容を要約してある文章で、各章の冒頭1-2段落分をこれにあてます。リード文の内容は、読者にとってわかりやすいでしょうか?各節も同様です。冒頭のリード文でその節で述べることをあらかじめ示します。リード文の役割は、あらかじめ要約を示すことによって、全体のなかのその章、その章のなかのその節の果たす役割を読者に示すことなのです。

この時点で、リード文がこころもとなければ、書き直す作業をしてもよいかもしれません。しかし、卒論の整理されなさは、リード文がしっかりしていないことが原因なのか、その章や節のリード文のあとの中身のほうが整理されていないことが原因なのかは、まだ分かりませんので、リード文をまず直せばいいかどうかは、その先の中身をみてからのほうがよさそうです。

さて。論文全体の構造は、全体>章>節>項となっており、章以下はたとえば、1>1−1>1−1−1などのように表されます。これらより小さな単位がパラグラフと考えればいいでしょう。目次の段階では、節か項のレベルが最小となっており、それ以下の単位は表れていません。なので、論文の内容が整理されていないのは、パラグラフがまだはっきりしていないからではないかということが考えられます。

そこで、以下の作業をやってみましょう。

(1)トピックを探し、パラグラフに分けてみる
(2)パラグラフごとに、パラグラフライティングをすすめる
(3)(2)の作業で、そのパラグラフから除外される文章が出てくるので、それらを章節のなかに再編入する、具体的には別パラグラフを立て、そのなかでの作文を考える

私の考えでは、(1)ができれば、それぞれのパラグラフで扱うトピックは分かっているはずであり、その先にある(3)の工程も想定しておれば、作業自体はすすむのではないかと思います。

これらの作業が難しい場合が出てくるかもしれません。その場合は、その原因を自分で考えてみましょう。

たとえば、

A)そもそもトピックの数が多く(小トピックの乱立状態)、比較的大きいトピックと比較的小さいトピとに分けることに四苦八苦している。しかも、各トピックが小さいためトピ毎の情報量が少なく、パラグラフ・ライティングが適用しにくい。

そういう状態なのかもしれません。それはやはり、自分の頭のなかでKJ法的に、小トピックのカードをまとめた中トピックの島を作り、その島に表札(トピック名)をつけるという作業をしてみることが打開策かもしれないですよね。

B)トピック毎のデータと説明内容はイメージできるのだが、どのような順番で説明をおこなえばいいのか分からない。パラグラフの冒頭にある「要約文」は書けるのだが、その後の複数の説明の文の順番の組み方が分からない。

もしかすると、そういう状態かもしれません。この場合は、要約文の内容と、その後に書かれてある文章にふくまれる情報とに不一致がないかチェックする。不一致のある場合には取捨選択をおこない、メインのものを優先するべき。要約文の内容をよく分析し、ここでは何を優先して書き、優先する情報に附属する情報がなにかという説明の優先順位をはっきりさせる(そして、おそらく要約文の内容自体も補足することになる)。

難しいですか? ならばもういちど、各章のリード文をみなおしてみてください。そしてまず、各章リード文をつなげて読んでみると、卒論全体の展開(流れ)、つまりどんな問い(目的)を立て、そのような着目点で、どのような調査をして、最初の問いに対するどのような着地点を得ているのかが分かるようになっていますか?

もしそれが分かるのだとすれば、全体のなかで各章の果たす役割が、分かるはず。

そうしたら次に、章内の各節の冒頭の段落(リード文)も作りなおしてみましょう。とくに4部構成のうちの「本体」部分については、節レベルまでリード文を作ればいいと思います。各章内の各節のリード文をつなげて読んでみましょう。そうすると、各章全体のなかでの各節の役割もわかるようになるでしょう。

次はパラグラフです。各節内の各パラグラフの冒頭の要約文をつなげて読んでみましょう。そうすると各節全体のなかでの各パラグラフの果たすべき役割がわかるはずです。そこまで分かれば、おそらく各パラ要約文につづく説明の文の順番組みも分かってくるのではないでしょうか。

論文のなかみを整理し直し、書き直すということは、このように全体と部分とを何回も往復してなされるべき作業です。こうした作業をへて出来上がった論文は、強度のあるものになります。


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注記: 念のために言っておくと、ここで言う「パラグラフ」は日本語で言う「段落」とはちがいますからね。この点あいまいな人は上記文献の該当箇所を読み直し。

2016年11月25日金曜日

研究の目的


卒論(に限らず論文一般)のおおまかなフォーマットは、次の4部構成です。

Ⅰ.研究の目的(はじめに)
Ⅱ.調査の対象と方法
Ⅲ.本論(ここが2〜3章分)
Ⅳ.議論のまとめと考察、残された課題

もっとも分量が多いのは「Ⅲ.本論」の部分です。標準的な卒論は、この第Ⅲ部が2章分〜3章分からなり、ほかの部は1章ずつで全体が5−6章となります。

先日まで、データとその説明文をどんどん書いていけ、と言っていたのは「Ⅲ.本論」の部分を完成させるためでした。まだその作業のまっただなかの人もいますが、そろそろⅡ.とⅢ.の部分は、ほぼ内容(材料となる文書ファイルや図表ファイル、および説明文)が出そろったのではないかと思います。まだできていない人は、急ぎましょう。

コース〆切まで2週間を切りました。もう冒頭のⅠ.と最後のⅣ.の部分に取りかかるべきです。今回はこのうち「Ⅰ.研究の目的」でなにを書けばよいかということについて述べます。すでにこの部分を書いている人も、もういちど見直してみましょう。

今年度の卒論は、どれもタイトルがよくできていると思います。タイトルに、卒論でなにを明らかにしたいかが現れているからです。たとえば、グリーン・ツーリズムを実施する際に受け入れ農家がクリアすべきハードルを明らかにすること、公民館の開催行事への住民の参加形態を明らかにすること、地方劇団と多くが社会人であるその劇団員の活動の実態を明らかにすること、滞在型地域外人材の集落維持に果たす役割を明らかにすること、などがそれぞれの研究の目指すところです。

研究の目的で書くべきなのは、基本的には、みなさんがタイトルで表現した「何を明らかにしたいか」です。だから、(A)まずタイトルの詳しい解説(解題)が必要でしょう。タイトルで使っているキーワードの説明などがそれにあたります。また、これは必須ではありませんが、(B)その卒業研究の着想にいたった経緯から導入してもいいと思います。個人的な疑問や気づきから入るやり方です。

でも、(A)(B)だけでは足りません。(C)「なぜ、それ(タイトルで表されたこと)を明らかにする必要があるのか」、言い換えれば「なぜ、それを明らかにすることが重要なのか」を説明する必要があります。じつはこれがいちばん重要です。それをしないと、たんなる趣味の文章に近づいてしまうからです。

なぜ、それを明らかにすることが重要なのか。この根拠を説明するやり方は、通常、2つのパターンしかありません。第1は「いまその社会現象が、現実社会で重要な課題とされているから」あるいは、「現実社会で重要な課題とされていることと、この研究の扱っているテーマが関連の強いことだから」というものです。もちろん後者の場合は、その「強い関連」の解説をていねいにおこなうことは必須です。また、どの資料が、どのように注目しているのか。統計、政府や自治体報告書などの資料、新聞・雑誌記事などに根拠をもとめ、本文中に要約して示しましょう。

第2は、「その社会現象が、ほかの研究で重要な課題とされていたから」、そして、「そこで議論されていることを視点や角度を変えて観察し、新しい知見を付け加えられると見込んだから」。たとえば、やや安易ですがこういうこともあります・・・「関東地方での調査はあるが、それが青森県でも妥当かどうか比較できると見込んだから」(もちろんこの場合も、なぜ青森県で比較調査をおこなう意義があるか、については説明が必要です)。いずれも、すでに注目すべきことがらとして同様の研究がある、それを踏み台にして新しいことを言う、というやり方です。これも、根拠となる論文・書物を引用し、本文中に要約したり抜粋したりして示します。

この2つのやり方は、どちらかひとつを採る、というのではなく両方が入っているほうがいいです。同じ社会問題でも、行政やジャーナリズムがそれを扱うときのやり方と、研究でそれを扱うときのやり方(とくにデータの分析や解釈の部分について)はちがうからです。つまり、第1のやり方オンリーでは弱く、どちらかといえば第2のほうを研究では重視しています。これがよく言われる「先行研究レビュー」です。

では、以上を参考に現時点での自分の原稿の「Ⅰ.研究の目的」部分をチェックしましょう。(A)(C)の要素は、ちゃんと入っているでしょうか?(C)のなかには、第1と第2の要素—とくに第2の先行研究レビューが入っていますか?

もちろん、中身となる「Ⅲ.本論」の部分があるのだから、その中身との兼ね合いも勘案しましょう。こうして、いま「Ⅰ.研究の目的」を見直し、バージョンアップしていくことで自分の論文の全体が見えてきますし、最後の「Ⅳ.まとめと考察」の部分に書くことは、おのずと明らかになってくるはずなのです。

2016年11月3日木曜日

構成とデータ(図表、事例)で伝える

来週のゼミでの配布資料について、タイトルと目次だけのファイル、本文だけのファイル、図表だけのファイルを分けて印刷し、配布するよう指示しました。本文をふくめすべてを配るのは4年生と私にだけ、2、3年生に配るのは「タイトルと目次」「図表(と事例)」の2種類のレジュメだけです。

なぜこんな指示を出したのかといえば、論文の叙述には、(ⅰ)構成が意識された展開、(ⅱ)データをもとにしっかりと社会現象を述べていくこと、の2点がもっとも重要だからです。今回の指示にしたがった作業を通して、これらに関して意識的になってください。

このエントリーも含めた、ここ3回分の卒論関連エントリーを読み返してください(全体の見通し⇄データによる記載、データによる記載の基本)。私は一貫して、上で述べた重要点をクリアしていくための方向と方法、作業内容を示し続けています。

次回ゼミ発表への対策を以下に伝えます。

  • まず、図表類(事例含む)も本文も、これまでに作成したすべてを出してください。これまでの到達の全体、これから組み立てる卒論の材料のすべてが私と著者であるあなたに具体的に見えていないと、私もアドバイスのしようがありません。
  • 図表には、よく考えてタイトルをつけてください。事例の文章にも。ばくぜんとしたタイトルはやめる。何のデータが示された表か、何と何との関係が示されたグラフか、何を示そうとした事例か。そういうことが分かるタイトル。
  • 表は、どういう順番で表のなかのデータを並べるかをちゃんと考えること。なんとなく、は絶対にダメ。表としてみにくくなるし、説明もボンヤリしたものになるからです。説明したいことがみえやすい順番に並べること。

以上が、おもに全体方針とデータについて。次に、構成について。2、3年生に配布するのは「タイトルと目次」「図表(と事例)」だけです。発表者ひとりに20分程度しか時間を取れませんので、長々と本文を読む時間もありません。

  • 研究目的、各章の要約文は、かならず用意しておく。研究目的を述べ、データを説明する各章では「第×章では、・・・・・について明らかにするため、・・・・・の調査によって得たデータをもとに・・・・・ということを示します」というように、予告してから図表・事例の説明に入ること。
  • 図表や事例のデータ説明のあとには、そのデータをとおして分かること、そのデータから解釈できることを述べる。
  • 全体の構成と、それぞれのデータを全体のどの部分や位置にあるといいか、なにを説明する役割であるといいのかという関係がわからなくなったときには、先週に実例を示した「自分への作業指示書」を1時間かけて作ってみましょう。

だいたいそんなところですね。がんばればできると思います。

2016年10月26日水曜日

データによる記載の基本

毎日、3時間の作業ができるように机の上を整理しましょう。自分が気に入る整理のしかたでかまいません。整理整頓。自分にとってぐちゃぐちゃの机は、近づくのが億劫になります(私もよく経験します)。

さて、先日述べた「データによる記載」部分について、作業の基本を説明します。これは(1)データの整理、(2)図表の作成(あるいは観察や聞き取りの事例作文)、(3)整理したデータの説明文の作成、の3段階に分かれます。

卒論に使うかもしれないもので、(1)データの整理を済ませていない、調査しっぱなしのデータがありますか?すぐに済ませましょう!「これは絶対に使わない」というものは除き、あとはまず、手書きのノーツからファイルを作成。手書き状態のものがまだだいぶある、という人は、休日を使って集中して済ませるべきです。ノーツを文書ファイル化していないものは、材料にすることができません。

調査の直後に文書ファイル化したノーツほど、価値があります。手書き調査メモに細かい部分を肉付けしながら、詳しく再現することができるからです(ここも参照)。時間が経ったものはそれが難しいんですが、ないよりましだし悔やんでも遅いので、「肉付け」は諦めてさっさと文書ファイル化する。これに30時間以上かけていては、時間が足りません。集中してこなしてください。

次に(2)図表の作成(あるいは観察や聞き取りの事例作文)です。仮バージョンを自分で作って来て、面談でバージョンアップする、ということをしましょう。必須事項は次のとおり。

  • (a)図表に使われているデータが、どんな調査方法で得たデータなのか、説明文を作ること。
  • (b)図表は、どこに注目してどうみればよいのかなど、図表の見方の説明文を作ること。
  • (c)その結果、どんなことを述べたい(説明したい)図表なのか、論文全体の展開に沿った説明文を作ること。
  • (d)図表には、かならずタイトルをつけること。タイトルは、なにを説明するための図表なのかわかるものにする。

(a)(b)は自分でできるはずです。(c)(d)になってくると、やや難しくなるので、議論が必要です。

さて、そうなると(3)整理したデータの説明文、つまり卒論の本文については、上記(a)~(d)を組み合わせ、編集し加筆して行くことで自然にできていきます。

観察の事例や、インタビュー結果を事例として示す場合も、基本は(a)~(d)は同じ。ただ、少し注意点がちがうところもあります。

(a)調査方法については、いつ・どこでも記録する。具体的な調査日のほかにも、祭りの調査だったらお祭りの前に聞き取りをしたのか、当日なのか、後日なのか。それによって、応える人がどういうつもりで応えているのかはちがってくるので、データをどう解釈すればいいのかも変わってくるからです。

(b)多くの場合、観察やインタビューの事例は、卒論本文において図表ではなく文章で示されるわけですが、それにしてもどこに注目するかという「読者の注意点の誘導」は必要です。これは(c)なにを述べたいがための事例か、ということにも直結します。事例を示したあとで、この事例が、この卒論の論旨とどう関係しているのか、だからどのように重要なのかを、説明しなくてはならないからです。

そして、できるかぎり事例にも(d)タイトルをつけましょう。(b)(c)が考えられれば、自然に出てきます。

2016年10月24日月曜日

全体の見通し⇄データによる記載

中間発表まであとひと月を切り、そろそろみなさん気持ち的にも卒論の追い込みスイッチが入っていると思います。中間、というなまえにだまされてはいけません。卒論のコース締切は中間発表の日から、ほぼ1ヶ月後なのですから。約束通り、このコース締切で最後まで書けていない人は、さらに1ヶ月後の学部〆切時点でのできあがりを保証できません。

というわけで、時間との勝負です。時間の使い方をまちがっては失敗します。みなさん、もううっすらとした見通しはついていると思いますが、ここでは時間の使い方を指示します。

やるべきことは(1)全体の見通しを立てることと、(2)データによる記載をすすめること、この両方です。卒論面談ではおもに(1)をやりますが、そのとき、議論の材料となる(2)がなければなかなかすすみません。いまは(2)にもっとも時間をかけるべきです。1日に3時間は割いてほしい。

(2)を3時間やっていると、どれだけ時間がかかりそうかがすぐ分かります。3時間では、慣れてきた人でも1,000字すすむかすすまないか。卒論の量的な目安は20,000字ですから、単純計算で最低20日は必要ということになります。

そして、毎日(1)も15-30分でいいので時間を割いてください。具体的にやることは、ふたつあります。第1は、目次を見直すこと。目次は全体構成を示すものであり、ページ数確認のものではない、と思ってください。(2)自分の調査データの説明の方向が分からなくなったときは、(1)全体構成のなかでそのデータを使う部分がどんな役割を果たすべきなのかを考えるべきです。

第2は、その「全体構成のなかで果たす各部分の役割」を考えるためのことです。各章の冒頭に、その章で述べられる内容を要約した「要約文」のような1段落(リード文)をつけましょう。これは、パラグラフ・ライティングの考え方です。

たとえば完成する卒論が全5章だとすれば、第1章が研究の目的、第2章が方法と対象、そうすると第3章、第4章あたりが調査データを使って書く部分で、第5章がまとめと考察(こうした基本構成は、先日配布のレジュメに書きましたので見直してください)。とくに、(2)データによる記載に直結する第3章、第4章の部分に「要約文」を着けることは重要です。

要約文の付け方については、One Drive上に私のなまえのフォルダがあり、私の書いた論文を例として upしていますので(フォルダ「161024 各章要約文」)、具体例として参考にすること。

以上が、やることです。まとめます。データによる記載は、1日3時間は割いてすすめること。それが終わったら、15分~30分は全体の見通しを立てる作業にあてること。3日にいちどは、バージョンアップしたファイルをOne Driveにあげること。これのくりかえしで卒論、絶対にできあがります。

2016年3月14日月曜日

就活_2016

1.大事なのは、スケジュールとモチベーションの管理です。
  • 卒論と就活の両立はたいへんですが、やってみないと実際のスケジュールは立ちません。どちらもひとまずやってみることが第一、スケジュールとモチベーション管理が第二、うまくやれるかどうかはそれからです。

2.費用対効果の最適化を考えましょう。
  • 就活に振り回されないこと。一定以上の数(場数を踏む)は必要、しかし多すぎても疲れるだけ。地域や業界を考える。関東一本やり、マイナー業界一本やりは高リスク。定番のもの(流通、銀行etc.)も受けておき、精神的余裕を。

3.エントリーシートの書き方は、こちらも参照すること。
  • もとめられた項目に対する応答としてちゃんと書けることが第一、自分の人物像が描けることが第二です。第一だけではダメ。(文章が)上手に書けるかどうかは、そんなに問題ではありません。

4.やったことから確実な自己アピールを組み立てる。
  • 自分の大学時代にやったことを50リストアップする。次にそのことの意味を考える(各100字)。それを読んでみる。就活相手からどう見えるかを考えて、自分の人物像をKJ法的に組み立てていきます。

2016年2月26日金曜日

2016_卒論への道(その1)

春休みのあいだに、とにかく調査をはじめましょう。3年後期のゼミで言ったように、調査ノーツのファイルを貯めていってください。1回の調査で1つのファイル。ノーツがなければ、春からの4年ゼミでなんにもできません。

1回の調査ではなにも分かりません。分からなくてふつうです。調査の回数を重ねていくと、なにかが見えてきます。ですから、調査を始めることをためらっていてもなんのメリットもありません。「調査をはじめる」という点に関しては、私はなにも助けてあげられないのでそのつもりで。私が手助けできるのは、みなさんが調査ノーツをみせてくれて、そこから先です。

調査ノーツには、いろいろなことを、たくさん書いてください。文章の出来はまったく問題ではなく、情報量の多さだけが問題です。1回の調査でページ半分の15行しかノーツがない、というようなのは論外です。調査中に手書きのメモをとる → できるだけその日のうちに、現場で見聞きしたことを思い出しながら肉付けしたノーツを文書ファイルにする。調査ごとにこれを繰り返す。文書ファイルの数が増えていき、これが卒論の材料となります。

「いろいろなこと」とはなにか。社会学の調査は、実態調査と意識調査と両方です。対象としているのが社会現象である限り、人びとの活動や関係、考えが生き生きと伝わる部分があるものが、よいノーツです。webサイトや行政の資料にすでにある情報は、わざわざ現場で集める必要はありません。

ノーツには、見聞きしたものごと、測ったり数えたりしたことの記載(データ)と、自分の説明・感想・コメントとを意識的に区別して記すこと。実習のとき、この区別が分からないノーツをよくみました。

文献の勉強はどうすればいいのか、気にしている人もいるかもしれません。現段階では、好きにしてください。文献を勉強しておいたほうが安心な人はどんどん読む。文献を読むと迷いが多くなるとか、分からなくなるという人は、いまは読む必要なし。それより自分のノーツの文書ファイルを何度も見返しましょう。また、3年後期の自分のレジュメ、そこに自分がメモした私のコメント、人のレジュメなども見返しましょう。次の調査への気づきがあるかもしれません。そうして、当初の調査計画を修正(バージョンアップ)していきましょう。

調査がある程度まですすんでくると、自分は卒論でなにを言いたいのか、なんのためにこれを調べているのか、分からなくなってくることがあります。そんなとき、自分のやっていることを相対化して把握しなおすのに文献=先行研究は必要になってきます。夏休みには、文献の勉強が必要になる段階を迎えることができるように、いまはとにかくデータ集め=調査を重ねましょう。

とはいえ文献が気になる人へ。参考になる論文は、Ciniiなどで検索し、PDFファイルでダウンロードできるものを入手するのが効率的だと思います。次に、書籍を図書館で当たりましょう。ただし論文検索のさいは、相談してください。みなさん論文検索に関しては例外なくヘタクソで、キーワード(検索語)の選び方が分かっていないので時間のムダになることが多いからです。

調査メモの取り方やノーツの作り方についてはこちらやこちら、論文の読み方については、こちらも参考にしてください。

3月中も、メールは平日ほぼ毎日チェックしますので、わからないことは相談してください。日程によっては、午後に1時間面談も可です。

私も2015年度の4年ゼミ・卒業研究での反省を生かしながら、2016年度、みなさんとがんばっていきたいと思います。

2015年10月13日火曜日

大学生調査(統計資料です)

卒論で、大学生を相手にした調査をしている人もいます。ゼミ4年生では全員が、半構造化インタビューの方法をとっています。

自分の調査は「インタビュー」で「質的」なものでも、質問票による大量調査での量的統計データを参考にして、たとえば全国の大学生のなかで弘前大学の学生がどのような傾向や特徴があるのかをチェックする必要があるでしょう。

以下のwebサイトは、その意味で参考になります。ちなみに、大学生だけでなく高校生調査もあります。


「本調査 集計結果」から「分野別集計」をみてみてください。例えば、「1週間の平均的な生活時間、学期中と休暇中の別」「1ヶ月の生活費」のような項目があります。

2015年6月19日金曜日

社会学の論文検索(その3)

前回、前々回のエントリーにつづいて、社会学の論文をさがすサイトの紹介です。

前回(その2)まではJ-Stageという、サイト内検索が可能なwebサイトの紹介でした。今回は有力な論文を含む紀要や大学院生中心のジャーナルのwebサイトです。(サイト内検索は*印のついたもののみ可能。)

順序としては前々回の2誌でまず検索、なかったら前回紹介した各誌のなかで関連しそうなジャーナル(雑誌)のwebサイトに行って検索。これらにある程度慣れてきて、さらに時間があったら以下のwebサイトをあたってみる、というのがよいでしょう。

ちなみに、前回、前々回紹介の各誌webサイトで検索してヒットしなかった場合は、以下の各誌webサイト内をさがしまくる前に、検索語を再検討したほうがいいでしょう。


【大学院生の論文など】
【大学紀要】


2015年6月11日木曜日

社会学の論文(日本語)検索

卒論の参考文献として、関連論文を探したいときに、以下のwebサイトが便利です。

『社会学評論』『ソシオロジ』という、日本の社会学を代表する学術誌2誌のバックナンバーに掲載された論文のPDFファイルが、検索でき、ダウンロードできます。


もちろん、みなさんごぞんじCinii(国立情報学研究所の論文検索サイト)は、社会学関連のほかの雑誌、それから他分野の雑誌に掲載された論文もすべて検索できます。みなさんが書くのは社会学の論文なので、まずは『社会学評論』『ソシオロジ』2誌の論文を検索してから、満足な結果が得られなかった場合にCIniiで検索、という順序でやれば効率がいいでしょう。

上記サイトが便利なのは

(ⅰ)上記2誌掲載のすべての論文が検索でき、downloadできる。Ciniiはタイトルだけでdownloadできないものも多い

(ⅱ)検索してヒットしたものが複数となる場合も多く、それらの「要旨」をみていけば、そのなかから関連しそうな論文を探せる

(ⅲ)検索語で「書評記事」がひっかかったら、世の中にある関連本(社会学)の概要を(1-2ページ程度で)知ることができる

という点です。

(ⅰ)(ⅲ)のメリットは、分かりやすいと思います。
(ⅱ)のメリットは、分かりにくいかもしれません。説明します。

以下の文章を読んでみてください。図書館での参考文献(本)の見つけ出し方を説明した文章ですが、じつはこれとポイントは同じなのです。

図書館のOPACで卒論の参考文献をみつけようとするとき、直接自分の調査トピックや対象を検索語として入力しても1件もヒットしない、という経験はあるでしょう。逆に50件以上ヒットしてしまって困る、ということもあるかもしれません。そんなとき、どうすればいいか。

正攻法は、そのトピックの一歩奥にどんなテーマがあるか考えてみることです(e.g.「大学生の趣味」ではなく「若者」「消費」「余暇」などでも検索)。この一歩奥のテーマを探す方法は、ひたすら考える(ひとりブレインストーミング&KJ)ということでもいいですが、ほかにもあります。手持ちの『社会学』のテキストでそのトピックを探してみて、どんなテーマの章で扱われているかを調べる。あるいは社会調査実習室の『新社会学事典』でそのトピックが載っている項目を読み、関連するテーマとおぼしき単語で検索をする、などです。

そうして見つけ出した検索語で再検索。1-2冊しかヒットしない検索語はハズレだろうと思いましょう。50冊以上ヒットした場合はまた上記のやり方などで絞り込みます。10冊~30冊くらいなら、OPACから離れて図書館の本棚に行くこと。なぜかといえば、きちんとジャンル分けされた図書館の本棚で探すということは、その本の周りにある関連しそうな本にも出会いやすい、ということだからです。

上記の社会学の雑誌2誌の検索の話に戻りましょう。ヒットした複数の論文のタイトルには、直接検索語が入っていなくても、その論文の本文中のどこかに検索語があればヒットします。ということは、その論文の内容は関連していることが考えられます。参考文献候補ですから、内容をチェックしましょう。

作業が膨大になる、と心配する必要はありません(多少の労力は、能力を手に入れる代償だと思ってがんばるしかない)。

慣れないうちはタイトルに検索語がないと中身をみないとまったくわからない、という状態です。が、慣れてくると「そのひとつ奥にあるテーマ」的なものがニュアンス的に分かってくるので、検索語はタイトルに入っていないにもかかわらず、タイトルをみただけで「これ、けっこう関連かも」と分かるようになります。

それまでは、ヒットしたもの全部の内容をチェックしてみましょう。なにも全ページ読むことはありません。論文は、最初の半ページほどに短い「要旨(要約)」が載っています。そこを読んで、全文読むかどうかを判断すればいいだけのことです。

全文読んでいく場合も、なんとなく読むのではなく(時間のムダ!)、この2回のゼミで練習した「論文の構成を意識した」「書き手目線に立った」読み方で機械的に読んでいくことが効率的です。

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【追記】
「要旨(要約)」の件ですが、上に書いたように、論文冒頭に半ページほどの全体の要旨(要約)文が載っているのは『社会学評論』のほうで、『ソシオロジ』は論文の本文と参考文献リストのあと、最終ページに英文の要旨が載っています。英文はちょっとハードルが高いかもしれませんが『ソシオロジ』は現在upされているバックナンバーの数自体が少ないので、ヒットする論文数も少ない。がんばって全文チェック。

2015年6月3日水曜日

パラグラフ・ライティングには二重・三重の利得がある

昨日のゼミでは卒論の出来上がり(全体20,000字程度)までの工程イメージを伝えました。どこでなんのために頭を使うか、時間がどこでどれだけかかるかを考えましょう。早く取りかかれば取りかかるほど、見積もりが立つようになります。

論文は構成重視。基本は以下の4部構成です。

A. 序論(はじめに)
B. 対象・目的・方法
C. 本論
D. 議論と結論

それぞれの内容がどのようなものかは、昨日のレジュメを参照。それらの内容をどうやって書き進めればいいかは、レジュメを参考にしながら、その都度の面談で、やるべき個別作業に落とし込んでいけばいいのです。ただ、最初の段階では試行錯誤が必要で、現在の4年生はまだその段階です。

C.部分の素材は調査データなので、これからさらに調査がすすみ、ノーツが蓄積されるにつれてできていきます。

すでに調査データが少しずつ蓄積されている人は、A.を作っていきます。やみくもに調査するだけではその先になにがあるのかが分からないので徒労感を感じます。A.部分は調査の方針、調査の先になにを分かろうとしているのか、という全体像を示すものです。

B.部分はA.とC.ができてきたら自動的にできます。
D.部分を作るのは直前期(中間発表前の10月後半)でいい。

これから夏休み前までにA.〜C.部分をどんどん試作していきます。ぼろぼろでもいいので、まずA.〜C.の試作版を作り、そこから徐々に全体を仕上げていきます。書かなくてはなにも始まりません。書かないと考えていることになりません。

A.から順番にD.まで仕上げていく、ということはありえません。それぞれのパーツが並行して徐々に出来上がっていきます。C.のデータがなくてはA.の全体像・全体方針は立ち上がってこず、逆にA.の全体像・全体方針がスカスカでは調査の方向がみえず、というように各パートは別パートとの相互関係で育っていくからです。

原稿を書くときに注意するべきは、パラグラフ・ライティングを徹底することです。パラグラフ・ライティングが重要なのは、2つの意味においてです。第1は、構成していくときに有利だということ、第2に文章の書き直しが少なくてすむということ。これによって、卒論完成までの所要時間が2/3〜半分くらいになります。

パラグラフ・ライティングがなにかはwebで調べてもわかりますし、参考書が知りたければ教えます。勉強して知るだけではなく、必ず実践してください。

また、卒論だけではなく、論理的な構成で、誰が読んでも分かる文章を書く技術は、どんな事務仕事にも使えます。エントリー・シートにも。だから、パラグラフ・ライティングには二重・三重の利得があるのです。


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【追記】
パラグラフ・ライティングの基礎については、6月9日のゼミで、以下の文献の該当ページ紹介によって説明しました。

  • 倉島保美『論理が伝わる世界標準の「書く技術」』講談社ブルーバックス、2012年(pp.26-32)

2015年6月2日火曜日

公的統計資料・報告書リンク集

各自の卒論調査に関連しそうな公的な統計資料・調査報告書類へのリンクです。随時追加していきます。

総務省統計局

文部科学省

内閣府

経済産業省関東経済産業局

国立国語研究所

東京都教育委員会

弘前市

2015年4月27日月曜日

佐々木さんのエントリー・シート

先週金曜の臨時ゼミは、就職2年目、某企業でシーリング材の営業で働いている佐々木さんに、お仕事の話と就活の話をしていただきました。そのなかで、ある企業人から「よくできている」と褒められたことのある、かれが3次面接まで進んだ某お菓子メーカーあてのエントリー・シートをみせてもらいましたが、あれの要点はなんでしょうか。

*  *  *

細かいポイントはいくつもあるのですが、全体的に「ストーリー性」があるということだと思います。具体的に説明します。

シートのなかには複数の項目の作文があります。ここで言うストーリー性とは、それらの各項目で書かれてある内容どうしが、なんとなくそれを書いた人の中でつながって生きていて、かつ、それぞれが書いた人の入社後のビジョンにもつながっていっているな、と読む人が思えるかんじで書かれているということです。

佐々木さんには、特別アピールできる資格はありません。世の中にはもちろんTOEFL、TOEIC、英検とか日商簿記2級とか宅健とか行政書士とか、はては漢字検定とか、いろいろ資格はあります。そういう資格は、もしいま持っているなら、アピールには使えます。でも大事なのは、数ありゃいいというものでもないし、持ってるものを並べるだけではもったいない、ということです。4年生はいまから慌てて資格なんか取ろうとしなくてもいいです(時間かかるし)。

あと、面接の会場では「この資格持ってます」「入社後これができます」みたいなことをやたら押してくる就活生が目立っているかもしれませんが、恐れるに足らず。資格なんか履歴書みたら分かるし、履歴書とかぶることを面接で繰り返すと「こいつ、これしかアピールポイントないのかな」と思われます。「できます」アピールについても、できるかどうかは採る側が判断するので、そんなこと言うだけじゃあ意味ないです。

たとえば、TOEFL500点というのは、それ自体高スコアでもなんでもないのだとしても、大学在学時代のアメリカ自転車旅行の経験があり、将来海外での営業職を志望している、ということだったら、その各要素がつながってひとつの人物像を結ぶわけです。「ああ、優等生タイプじゃないけどやる気と行動力はあるんだな、じゃあ海外勤務も視野に入れているな」とか。

佐々木さんのエントリー・シートの現物をみてみましょう。まず、書き方です。

企業志望の理由とか、その企業でしかできないこととか、これまでに挑戦した困難な目標とその達成法とか。各項目のお題に対して、冒頭の1-3行目で答えを、続いて答えについての説明を書いています。たとえば1行目に志望理由、2行目以降は「なぜなら~」で始まる。これ、みなさんごぞんじのパラグラフ・ライティングですね。全体が徹底してその書き方になっています。企業の人がエントリー・シートを数百枚(場合によっては千枚以上)チェックしていることを考えれば、「なんか読みにくいな」と思われるだけで不利ですし、読みやすくて飛ばし読みでも要点が分かるというのは、まちがいなく有利です。

次に、書いてある内容です。佐々木さんが言っていた「経験は実績」がキーワードです。

目立つところがいくつもありますね。アメリカ大陸自転車横断とか。インカレ団体優勝とか。自己記録更新とか。ちょっと笑うほど「すごい人」にみえます。こういうのをみると、この人はすごい人だから私はこんなの書けません、と結論するかもしれません。でも、面接員側はもっとスレています。「こいつアピールがんばってんなー(笑)」とか「団体優勝や記録更新はキミもそうだけどコーチがよかったんだよね」とか「自転車だけか?バスとかに乗ってないのか?」とか思います。もちろん、悪印象はありません。

重要なのは、すごい達成を書いているという点ではありません。経験にちゃんと意味や説明をつけられているかどうかだけが分かれ目なのです。失敗の経験を書くのだって、いいと思います。その失敗に意味や説明を付けられるということは、失敗を経験していない人・失敗しただけの人に比べて、明らかに経験値が高いからです。

経験は実績です、と佐々木さんは言います。ただし、あなたの経験そのままでは誰が見ても分かる実績にはなりません。(a)その経験が自分にとってどのような意味があった(ある)のかという経験への意味付けをし、(b)それがその企業に入ったときにどう生かせそうなのかというビジョンも少し述べる。これらの(a)(b)2つが書かれていてはじめて経験が「実績」になる。これが書けていることが、いいエントリー・シートの条件なのだと思います。「経験」を「実績&ポテンシャルの根拠」と位置づけて作文する、ということです。そういう実績、ポテンシャルをどう評価してどう使うかということは、採る側が決めます。

エントリー・シートには、履歴書に書いてあることを繰り返したってしかたない。逆に、履歴書に書けていない、書けなかったことを書くべきです。「経験」はその最たるものです。また、経験したことは、自分なりの話し方がやりやすいはずです。面接員の手元にあって質問のネタになるのがエントリー・シート。そこに書かれてある内容を、面接の場で自分で補足することはそんなに難しくはないでしょう。志望理由の模範答案を暗記したかのようなロボット的面接受験者はまったく印象に残りません。それより経験の語り方を工夫してみましょう。

というわけで、エントリー・シートでも面接でも、自分をプレゼンするときに、個別バラバラの経歴・資格等々の羅列よりも、個々の項目で書かれている経験の内容が意味付けされ、仕事のビジョンにも関連づけられた実績・ポテンシャルとして示されていれば、読む人(企業の人)にとって現在の本人(エントリー・シートを書いた人)の将来人物像に焦点が合って、その人への興味を引くかんじになって、いいんです。それが、冒頭で私が言った「ストーリー性」です。

経験を書く、というときに難しい点があります。他の人からは独自の経験にみえ、なんらかの実績の根拠とかあなたのもつポテンシャルと評価できるものでも、自分自身では「みんなやってることだ」「フツーのことでたいしたことない」と思えてしまう点です。これ、その経験に価値がないのではなく、意味付けがまだできていないだけのことです。

たとえば社会行動コースなら、実習とか卒論で、現場で取材していること、インタビューしていることなどは、実はあんまりほかの受験者がやってないことですし、具体的な調査場面のエピソードとか、いろいろ語れるじゃないですか。そういうの、面接で強いです。社会調査士という資格も、面接員には知らない人が多いでしょうけど、そこに食いついて来たら実習や卒論の話をすればOK。ただし面接では、最初は「社会調査」でいいんですが、話を続けていくときに「調査」「フィールド」という漠然としたコトバを連発するより「取材」「インタビュー」「アンケート」「調査した地名」など具体的にやったことがイメージしやすい語を選んで使ったほうが有利(こういう小手先も大事なのです)。

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あらためて佐々木さんのエントリー・シートを読むと、自分のことをよくここまでいけしゃあしゃあと褒められるものだ、とも思います(笑)。自分で自分を褒める作文が難しい場合は、私が添削することもできるので、相談してください。ゼミでも言いましたが、私、意外と人を褒めるの得意です。あと、佐々木さんは「笑顔はほんとうに大事っすよ」と言ってました(笑)。

2015年3月29日日曜日

ドツボにはまらない心得

4年生のみなさんは、就活(および公務員試験)と卒論という2大プロジェクトを抱えて、これから1年間とても忙しいと思います。どちらも難度のある長期戦なので、キツくならずに、なんとか姿勢をキープして乗り切ってください。就活と卒論、どちらにも共通して言えることで、両立するためにも必要な心得です。

  • スタートラインにうまく立つために、情報の共有を

自分の周りと情報を共有する(とくに初期は)。それで損をすることはない。友だちとはこまめに情報交換する。人から得ようとするだけではなく、人にも教えることのできる情報を用意する。ゼミ生どうしでも。そのうえで独自の活動と工夫をしていく(底上げ効果)。そうするとはりあいもおもしろさもでてくる。個別にやるだけでは効率は悪く不安が大きくなりやすい。

  • スケジュールのマネジメントをしっかりやる

これをやることで、卒論も就活もストレスが大きく減る。説明会、ゼミの発表日など、いろいろ。調整の融通が利きやすいのはゼミの方だが、直前になってというのは勘弁してください。遅くとも1週間前には次の7日間の予定は固めておくこと。なんとなく就活に流されるのはダメ(結果、就活にも卒論にも消耗する)。就活のなかで優先すべき事項とその理由を自分で決める、ということも含めてのスケジュール管理。

  • やりながら身につけていったことをすぐ次の成果につなげる

やりながら少しずつ要領がのみ込めてきてスキルも上がる(経験値の上昇)。自分でそれが分かってくればさらに伸びる。分かるためには、やりながら得たネタや「できるかも」という感触を、すぐ次のゼミ発表や面接などの実戦に生かし、取り入れていく。芸の基本は繰り返し+α。つねにその時点でのものを見せていくしかない。「まだできてない→今回は見送り」はキリがないし、できることが少ないかのような錯覚を呼ぶ。

  • 完璧を意識するのは無駄、調子を落とさず継続する

「自分とのたたかい」を手なづける。完璧を目指すとか、完璧な人を想定して自分を減点評価するのは無駄。自分が落ち込むキッカケを自分で作ることはない。自分の能力や持久力、クセについて、いろんな見積もりと対処ができることがいちばん大事。つまり、自己評価は「安定しているかどうか」だけが問題なのであり、自己評価が「高い/低い」はけっこうどちらでもよい。

  • あとは、人と会うこと

基本。卒論でも就活でも、人と会って話すことに積極的になると転がりが早くなる。もちろん時間には限りがあるし、多く会えば会うほどいいということでもない。会うべきとき、会えばいいかもと思ったときに気後れして会わないよりは、会っておいた方が後悔しない。


!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
〔追記〕
うーん・・・就活というのは、突然3日前に面接の呼び出しがかかったりするんですね。経験のない私は、就活中の4年生のみなさんの話から分かりました(感謝)。上では「遅くとも1週間前に次の7日間の予定を固めろ」と言いましたが、なかなか難しい面もありますね。いずれにしろ、上で言ってることの基本は変わりません。ドツボにハマらぬよう、自分を大事に就活と卒論を。つねに連絡はしてくださいねー。

2015年3月14日土曜日

関連文献紹介の要点(その1)

前回エントリーで、4年生には自分の卒論関連文献の紹介をしてもらう、と書きました。前期ゼミの時間に各自1回やってもらいます。もっと必要な人には「卒業研究」の枠内でやってもらいます。

さて、関連文献の紹介の鉄則です。

  • 1つ紹介の場合でも、それだけしか読んでいないのは絶対ダメ。いくつか読んだなかで、それを選択して紹介する。
  • ひとつのテーマやトピックに対しては、複数の立場や視点の論者がいるはず。そのなかで、選んだ文献が占める位置を把握。だから複数紹介のほうがいい。
  • その文献の主張に対する自分の卒論の位置取りまで示せれば、申し分ない。

さいごまでは無理かもしれませんが、最初はかならず、できる限り2番目まではクリアしてください。

本だけではなく、学術雑誌の論文も、国立情報学研究所のCiiniや大学図書館の雑誌情報/電子ジャーナル情報などを利用し、さがしてみてください。

関連文献のさがし方については、以下に昨年10月に配布したレジュメ「卒論への道(その3)」の一部を再掲します。

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  • 自分の調査にとってメインの参考文献 → 単著もの指定。新書、論集は除く。先輩の卒論(単著)は、参考文献としても、卒論の過去例としてもとても有用なのでかならず複数チェックする。
  • 単著でも『~入門』『~概論』のような本は、参考書として勉強にはなるが、ここでいう卒論に直結するようなメインの参考文献ではない。(そして、そのような本は最初から最後まで読んではいけない。自分に関係のある章をいくつか吟味して、そこだけ集中的に読むべき。論集の場合も同じ。)
  • 最初の段階では、webで探すよりも、図書館に行って本棚に並んでいる本のなかから探してみる方がラク。(例;まず1冊これかな?というものをwebで探して、図書館でその本の周りにある本とかみてみる。)web検索では適切なキーワードが分かっていないといけない。図書館の本棚はキーワードではなくテーマ、分野、トピックなどでグループ分けしている。
  • 興味ありそうな本なら、①目次、②本文の最初と最後の10ページずつ(つまり序章と最終章)、③本文全体で図表によって示されているデータすべて(写真含む)、の3つは必ずみてみる。それで、自分の調査のヒントがありそうだと思ったら、④巻末の参考文献リストをみて、関連書にどんなものがあるかを調べる(巻末ではなく、各章の終わりにリストが載っていたり、註という形でしか出ていないものもある。参考文献がどこにも示されていない文献はダメ)。→ そして・・・⑤より興味のありそうな章から読んでいく。
  • 世の中にとっては大事な本でも、自分にとっては興味の持てない本、卒論の調査にとっては関係ない本というのはいくらでもある。①~③の途中で、これはまったくちがうな、興味を持てないな、と思ったらひとまずその本は候補から落とす。
  • 10冊くらいについて上の①~③をやっていくと、目次をみただけで、その本全体の内容がなんとなくイメージできるようになっていくので便利。
  • 卒論は調査して書くので、調査して(できれば現地調査)書かれた本でないと、重要参考文献にはならない。文献は、全体をまんべんなく読むのではなく(退屈)、なにが調査対象で、どのような視点で、なにが問題とされ、どのような方法で調査をおこなって、どういうデータのまとめ方をしているか、をチェックする(卒論調査の方針を立てるという目的に沿った読み方)。結論としてなにが書かれているか、よりもどういう手順で論じられているかを読み取ることのほうが大事。
  • 数をみないと当たらない。2-3冊からではなく、50冊から2-3冊選ぶくらいのつもりで。
  • 気になる文献すべてを手に入れたり、図書館や人から借りたりすることはできない。でも先々のために自分でリストは作っておこう。文献リストの作り方は、先輩の卒論のものを参考にする。
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また、論文の読み方についてはここを参照。この場合は、本の読み方もほとんど同じです。

2015年3月3日火曜日

2015年度前期のゼミ

やり方や、やることの細かい点については、初回に決めたいと思いますが、ゼミメンバーのみなさんとこれまでなんとなく話して、決まってきた大枠を確認しておきたいと思います。

  • 3年生、4年生の合同ゼミであること
  • 3年生は、前回エントリーで示したような指定文献の講読
  • 4年生は、(1)自分の卒業研究と関連の深い文献紹介
  • 4年生は、(2)3ヶ月に一度くらい、卒論調査発表
  • 4年生は、(3)3年生の発表にコメント

というかんじです。
だいたい3年生の発表と4年生の発表が半々くらいの割合になるように考えます。発表がなく、私から話をするだけの回もあると思います。

なお;

  • 4年生は、卒論調査をやる場合にはゼミ欠席をみとめる
  • そのかわり、翌週には「卒業研究」の時間に報告する

ゼミの時間帯は、火曜日の14:20-15:50、16:00-17:30の2コマです。時間オーバーしないようにこちらも気をつけます。

このほか、就活についての情報共有とか勉強会のたぐいを、希望があれば4年生主導でやってもいいかもと思っています。たとえばゼミの最後の30分を利用するとか。大学受験と同じで、あるていど情報共有をしておけば不安も減るし、やることがみえてくるかもしれませんので、ほかにそういう場がなければ、そういうのもいいでしょう。

それから;

  • 4年生はゼミのほかに「卒業研究」の時間があります

おもに、やってきた調査報告とこれからの卒論のすすめ方を話し合います。調査報告については、こちらも参照。時間帯は水曜日の14:20-15:50、16:00-17:30の2コマ分ですが、毎週はやりません(その時間を利用して調査をすすめましょう)。いまのところ、前期は隔週でやる予定です。1回に発表する人は3人まで。これも、細かいことはゼミ初回にお話ししましょう。

2015年3月2日月曜日

3年生のゼミ講読文献(候補)

新3年生(現2年生)の2015前期ゼミでの講読文献候補です。


  • 日本村落研究学会編『日本農村の「20世紀システム」ー生産力主義を超えて』農山漁村文化協会、2000年
  • 日本村落研究学会編『消費される農村ーポスト生産主義下の「新たな農村問題」』農山漁村文化協会、2005年 (→参照)
  • 湯沢雍彦、宮本みち子『新版 データで読む家族問題』NHKブックス、2008年 (→参照)
  • 小浜ふみ子『都市コミュニティの歴史社会学ーロンドン・東京の地域生活構造』御茶の水書房、2010年 (→参照)
  • 山口恵子編『故郷サバイバルーフィンランドと青森のライフスタイル』恒星社厚生閣、2011年 (→参照)
  • 奥井亜紗子『農村−都市移動と家族変動の歴史社会学ー近現代日本における「近代家族の大衆化」再考』晃洋書房、2011年 (→参照)
  • ハワード・ベッカー(村上直之 訳)『完訳 アウトサイダーズ』現代人文社、2011年 (→参照)
  • 舩橋晴俊、長谷川公一、飯島伸子『核燃料サイクル施設の社会学ー青森県六ヶ所村』有斐閣、2012年 (→参照)
  • 上野千鶴子『女たちのサバイバル作戦』文春新書、2013年


難易度や分量はさまざまですが、この中から3点〜5点ほどを選んで(分厚い本は一部を取り上げる)読んでいきます。

とくにどれを読みたいという希望、ほかにも講読希望の文献があれば、連絡をください。
4月13日(月)までに候補を固め、14日(火)のゼミの時間に話しあって決めます。

2015年2月24日火曜日

長く、汚いフィールドノーツ

 観察記録や聞き書き(インタビュー)の際のフィールドノーツについてです。

すでに、現3年生(新4年生)は卒論のための予備調査を始めています。文献をどんどん読んでいって自分の関心を掘り下げていくことが難しいなら、さっさと調査を始めて試行錯誤して関心をつかまえていこう、という方針です。12月以来、各自試しに現場に行って観察なり聞き書きなりをやって、ゼミでその報告をしてきました。

ゼミで配布されるレジュメをみて、気になることがありました。内容が、あまりにすっきりしすぎていることです。まとまってない長いものを人にだしても、印刷する紙のムダだとか、そういう考えかもしれません。でも、それ(すっきり短い)では情報不足で、いろいろ質疑応答を経ながら検討していくことが難しい。そこで私が言ったのは「もっと長く、汚いノーツをみせてください」ということでした。ゼミは小規模なので印刷しても10人分程度。恥ずかしくももったいなくもないので大丈夫です。

長くて汚いノーツとは、具体的にどういうものでしょうか。
アメリカの社会学者、アーヴィング・ゴッフマンは次のように述べていました。

私たちは、奇妙なトレーニングを受けて来たせいで、無駄も隙もない文章を書こうとする傾向があります。これをしたら最悪です。できるだけ饒舌に、できるだけだらだらと書きなさい。そして、饒舌で副詞に満ちたその散文がいかにだらだらしたものであろうと、それは依然として少数の言葉で書かれた「分別ある文章」に縮減された資料よりも、より豊かな母資料なのです。(人がそれを読むことなど気にせず)できるだけ十分にできるだけ饒舌に書くことから始めなければならないということです。(ゴッフマン 2000;適宜中略した箇所がある)

ここで、観察でも聞き書きでも、現場の調査記録をどのように形にしていくのか、という手順・工程をひとつひとつ、みていきましょう。

①フィールドでの手書きの調査メモやノーツ → ②それをPCに打ち込みファイル化したもの → ③それに少しだけ整理を加えたもの

これはフィールドでの記録を書き留めてから整理していくまでの最初の3段階で、卒論の形になるまでにはおそらくあともう3段階くらいの整理・分析を経ることになります。ゴッフマンが言っているのは①、②の段階のものでしょう。卒論調査のゼミで出てくるものは③の段階のものです。

①フィールドでの手書きの調査メモやノーツ
 自分しかみない手書きノーツなので、きれいな文章でなくてもいいし、自分で見返してあとで分かるなら記号でもいい。観察記録での人のちょっとしたしぐさ、聞き書きのさいの独特の言い回しなど、細かい点でも気になるところをなんでも、書き留めておきましょう。ただし、動きのあるものを観察しながらとか、人と対話しながらとかいう状況で、同時にいろいろなことを書き留めるという作業には限界があります。ゴッフマンの言うようには、現場では多くのことを書けません(だからいちいちきれいな文章にすることを気にしない、メモでいい)。動きのないものの観察(場所の観察とか)については、すきを見つけてできる限り書き込む。人の動きやしゃべりの内容はキーワードをどんどん書いていく。

②それをPCに打ち込みファイル化したもの
 現場で書き留めた調査メモやノーツは鮮度があります。できるだけ早くPCで文章化したものにし、ファイル化しましょう。フィールドノーツとしてメモされている内容は、そのまま写してタイプすれば、自分で思っているよりずっと量的に少ない。そのまま写すのではなく、メモされたキーワードなどから調査の現場を頭の中で再生して、記憶していること、思ったこともすべて書き込むのです。このとき、写した部分と加筆した部分、見たり聞いたりした事実と、自分が思ったことやコメントとを区別できるようにフォントや色を変えたり、写しただけのバージョンと加筆バージョン、コメント加筆バージョンなど別バージョンのファイルに分けるなども工夫です。この作業は、理想的にはその日のうちに、できれば現場で調査してから1週間以内にすることです。個人差がありますが、あれこれやることがあって忙しい人はとくに、多くの出来事にまぎれて記憶が薄れます。私は記憶力があるほうで、時間のあり余っていた大学院生時代には2ヶ月くらいは大丈夫でした。いまは半月くらいが限度かなと思います。

③それに少しだけ整理を加えたもの
 ゼミの場で揉むときには、②を全部出してくれてもいいのですが、人が見て分かりやすいように少し加工や整理をほどこしましょう。たとえば見出しを付ける、順序を編集する、など。①を写したバージョンだけでは、内容が少なすぎ、人が見ても分からないのでダメ。ゼミでの調査報告は、出来がいいかどうかをみているのではありません。そこからどこをどう深めて調査をやっていくといいのかを見つけるためにやるのですから、手がかりは多い方がいい。この場合の手がかりとは、フィールド(調査の対象、調査の現場)についての手がかりであるだけでなく、調査者の関心についての手がかりです。だから、かならず②が必要なんです。

というわけで、少なくともゼミの段階では長く、汚いフィールドノーツをもとめます。それを晒しても、なんの損もありません。見せた人もそうですが、私も含め、周りも得るところが大きいのです。

【文献】
ゴッフマン、アーヴィング(串田秀也 訳)「フィールドワークについて」、好井裕明・桜井厚編『フィールドワークの経験』せりか書房、2000年、pp.16-26.(もともと1974年の学会スピーチだったもの。1989年に英文雑誌に所収されたものの翻訳)