2016年2月26日金曜日

2016_卒論への道(その1)

春休みのあいだに、とにかく調査をはじめましょう。3年後期のゼミで言ったように、調査ノーツのファイルを貯めていってください。1回の調査で1つのファイル。ノーツがなければ、春からの4年ゼミでなんにもできません。

1回の調査ではなにも分かりません。分からなくてふつうです。調査の回数を重ねていくと、なにかが見えてきます。ですから、調査を始めることをためらっていてもなんのメリットもありません。「調査をはじめる」という点に関しては、私はなにも助けてあげられないのでそのつもりで。私が手助けできるのは、みなさんが調査ノーツをみせてくれて、そこから先です。

調査ノーツには、いろいろなことを、たくさん書いてください。文章の出来はまったく問題ではなく、情報量の多さだけが問題です。1回の調査でページ半分の15行しかノーツがない、というようなのは論外です。調査中に手書きのメモをとる → できるだけその日のうちに、現場で見聞きしたことを思い出しながら肉付けしたノーツを文書ファイルにする。調査ごとにこれを繰り返す。文書ファイルの数が増えていき、これが卒論の材料となります。

「いろいろなこと」とはなにか。社会学の調査は、実態調査と意識調査と両方です。対象としているのが社会現象である限り、人びとの活動や関係、考えが生き生きと伝わる部分があるものが、よいノーツです。webサイトや行政の資料にすでにある情報は、わざわざ現場で集める必要はありません。

ノーツには、見聞きしたものごと、測ったり数えたりしたことの記載(データ)と、自分の説明・感想・コメントとを意識的に区別して記すこと。実習のとき、この区別が分からないノーツをよくみました。

文献の勉強はどうすればいいのか、気にしている人もいるかもしれません。現段階では、好きにしてください。文献を勉強しておいたほうが安心な人はどんどん読む。文献を読むと迷いが多くなるとか、分からなくなるという人は、いまは読む必要なし。それより自分のノーツの文書ファイルを何度も見返しましょう。また、3年後期の自分のレジュメ、そこに自分がメモした私のコメント、人のレジュメなども見返しましょう。次の調査への気づきがあるかもしれません。そうして、当初の調査計画を修正(バージョンアップ)していきましょう。

調査がある程度まですすんでくると、自分は卒論でなにを言いたいのか、なんのためにこれを調べているのか、分からなくなってくることがあります。そんなとき、自分のやっていることを相対化して把握しなおすのに文献=先行研究は必要になってきます。夏休みには、文献の勉強が必要になる段階を迎えることができるように、いまはとにかくデータ集め=調査を重ねましょう。

とはいえ文献が気になる人へ。参考になる論文は、Ciniiなどで検索し、PDFファイルでダウンロードできるものを入手するのが効率的だと思います。次に、書籍を図書館で当たりましょう。ただし論文検索のさいは、相談してください。みなさん論文検索に関しては例外なくヘタクソで、キーワード(検索語)の選び方が分かっていないので時間のムダになることが多いからです。

調査メモの取り方やノーツの作り方についてはこちらこちら、論文の読み方については、こちらも参考にしてください。

3月中も、メールは平日ほぼ毎日チェックしますので、わからないことは相談してください。日程によっては、午後に1時間面談も可です。

私も2015年度の4年ゼミ・卒業研究での反省を生かしながら、2016年度、みなさんとがんばっていきたいと思います。