毎日、3時間の作業ができるように机の上を整理しましょう。自分が気に入る整理のしかたでかまいません。整理整頓。自分にとってぐちゃぐちゃの机は、近づくのが億劫になります(私もよく経験します)。
さて、先日述べた「データによる記載」部分について、作業の基本を説明します。これは(1)データの整理、(2)図表の作成(あるいは観察や聞き取りの事例作文)、(3)整理したデータの説明文の作成、の3段階に分かれます。
卒論に使うかもしれないもので、(1)データの整理を済ませていない、調査しっぱなしのデータがありますか?すぐに済ませましょう!「これは絶対に使わない」というものは除き、あとはまず、手書きのノーツからファイルを作成。手書き状態のものがまだだいぶある、という人は、休日を使って集中して済ませるべきです。ノーツを文書ファイル化していないものは、材料にすることができません。
調査の直後に文書ファイル化したノーツほど、価値があります。手書き調査メモに細かい部分を肉付けしながら、詳しく再現することができるからです(ここも参照)。時間が経ったものはそれが難しいんですが、ないよりましだし悔やんでも遅いので、「肉付け」は諦めてさっさと文書ファイル化する。これに30時間以上かけていては、時間が足りません。集中してこなしてください。
次に(2)図表の作成(あるいは観察や聞き取りの事例作文)です。仮バージョンを自分で作って来て、面談でバージョンアップする、ということをしましょう。必須事項は次のとおり。
- (a)図表に使われているデータが、どんな調査方法で得たデータなのか、説明文を作ること。
- (b)図表は、どこに注目してどうみればよいのかなど、図表の見方の説明文を作ること。
- (c)その結果、どんなことを述べたい(説明したい)図表なのか、論文全体の展開に沿った説明文を作ること。
- (d)図表には、かならずタイトルをつけること。タイトルは、なにを説明するための図表なのかわかるものにする。
(a)(b)は自分でできるはずです。(c)(d)になってくると、やや難しくなるので、議論が必要です。
さて、そうなると(3)整理したデータの説明文、つまり卒論の本文については、上記(a)~(d)を組み合わせ、編集し加筆して行くことで自然にできていきます。
観察の事例や、インタビュー結果を事例として示す場合も、基本は(a)~(d)は同じ。ただ、少し注意点がちがうところもあります。
(a)調査方法については、いつ・どこでも記録する。具体的な調査日のほかにも、祭りの調査だったらお祭りの前に聞き取りをしたのか、当日なのか、後日なのか。それによって、応える人がどういうつもりで応えているのかはちがってくるので、データをどう解釈すればいいのかも変わってくるからです。
(b)多くの場合、観察やインタビューの事例は、卒論本文において図表ではなく文章で示されるわけですが、それにしてもどこに注目するかという「読者の注意点の誘導」は必要です。これは(c)なにを述べたいがための事例か、ということにも直結します。事例を示したあとで、この事例が、この卒論の論旨とどう関係しているのか、だからどのように重要なのかを、説明しなくてはならないからです。
そして、できるかぎり事例にも(d)タイトルをつけましょう。(b)(c)が考えられれば、自然に出てきます。