2020年4月16日木曜日

テーマ着想の経緯:自分の関心を掘り下げる

先日の課題では、(1)研究テーマ解説 と(2)関連文献の紹介 とをまとめてもらいました。卒論の基礎になる部分の下書き、その第一歩といったところです。これから2ヶ月程度でこの下書きを深め、広げていきます。

教師から押し付けられたレポートのテーマとちがって、卒論のテーマは、自分なりにこだわった説明と、専門的な説明ができなければダメです。およそ1年半かけて作り上げる卒論のような長距離走は、ほんとうに関心が持てるテーマでなければ難しいし、勉強して専門的な知見を盛り込まなければ卒論としては認められないからです。

そこで今回は、前回の課題を土台にして、自分の関心を掘り下げていく作業をすすめてもらいます。これを仕上げてから、第1回のゼミに入ります。やってもらう作業は以下のふたつです。

(A)テーマ着想の経緯を説明。なぜそのテーマが興味深いのかを、実際のエピソード・事例や、実際にあったことでなくても創作のエピソードや事例で説明する。(1,000〜1,200字)
(B)テーマについての自分の立ち位置を説明。紹介した文献は、同じテーマについて研究されている。それらは自分の研究となにがちがうのか。これを説明する。(1,000〜1,200字)

このふたつを説明しないと、人はあなたの研究の話に興味をもってくれません。そして(こちらのほうが重要なのですが)このふたつの作業を通過しないと、自分でもなにをやりたいかをあまり理解していないまま、長期戦に突入することになるのでツラくなり、続きません。

逆に、このふたつの作業をやっておくと、まず、自分の関心が絞れてきます。最初に設定するテーマはたいてい「大きすぎて卒論では手に負えない」という問題を抱えています。たとえば「これからの環境問題について」とか「青森県の地域活性化について」とか。それらの大テーマのからさらに一段階や二段階、絞り込んでいかなければ卒論にとって適正な大きさのテーマになりません。

(A)は、先日の(1)研究テーマ解説をふまえて、そこで解説されたテーマは、じっさいの日常のなかではどのような社会現象としてあるのかを説明します。他人に説明するとき、抽象的なコンセプトはまとめて把握したり、いわゆる掴みとしては有効ですが、ていねいに説明するときには具体例を挙げることが有効です。具体例を挙げ、なぜそれが興味深い現象なのかを説明します。

(B)は、先日の(2)関連文献の紹介をふまえて、自分の関心あるテーマにそれぞれの文献がどのような立場からアプローチしているのか、それは自分の関心とどのように違っているのか(まったく同じ、ならあなたの卒論は必要ないかもしれない)、なぜその文献が重要だと考えるのか、などを説明します。

これらは、前回の文書ファイルに上書きするのではなく、別のファイルに改めて作文して下さい。そして、作文したあとに、前回のものから研究題目の変更の必要性を感じたら、題目は変更して下さい。