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2022年10月19日水曜日

「網羅的箇条書き」の作成:聞き取り調査後にやること(3年ゼミの場合)

 インタビュー聞き取り調査のあとに、どういう作業が必要なのかをまとめました。この場合、調査の現場ではメモをとり、調査協力者(話者)の許可を得て録音データがあるものとします。

1.網羅的な箇条書きの作成

自分の現場でのメモ書きをもとに、じっさいの話の流れ・順番にしたがって、箇条書きを作成する。

  • 話された話題を細かく分け、もらさず網羅的なものを作成するのが要点。
  • ひとつひとつの箇条書きは、単語ではなく2行程度の文で。内容が口頭で再現でき、かつみた人もあるていどイメージしやすい。
  • たとえば、1時間の聞き取り調査であるていど密な内容なら15-20程度の箇条書きになるはず。
  • 原則、録音データはこの時点で聞き直さず、自分の記憶にたよって作成してみること。もし1コマ分の時間を使っても思い出せないときは、いちど通しで録音データを聞きなおし(聞きながら文字起こしはしない!聞くだけ)、再度チャレンジすること。

2.前後のコンテンツの作成

以上の網羅的な箇条書きをつくったあと、以下のようにその前後のコンテンツを加えていく。

(1)この調査の目的

(2)聞き取りの日時、場所、話者のプロフィル

(3)網羅的な箇条書き

(4)この聞き取り調査からわかったこと、気づいたこと、考えたこと

なお、このとき(3)網羅的な箇条書きの内容を、3-5つのグループにわけ、それぞれのグループに見出し(なまえ)をつけておくとなおよい。

3.レジュメの作成とゼミでの議論

調査初心者の2年生のあいだは、上の2.のようなかんたんなレジュメを調査報告として、翌週のゼミで示せばよい。ゼミではおもに、網羅的箇条書きのそれぞれについて、調査にとってどのような意味があるのか、どの項目がより重要そうなのか、それはなぜか、などを議論する。

4.ゼミでの報告のあと

調査目的との関連で、とくに興味深い・重要そうな項目があれば、その箇所の録音データをもとに文字起こしをおこなう。文字起こしをおこなった内容のうち、とくに重要な部分には下線を引く。下線部の意味、ニュアンスをまず話者の主観的目線から説明し、つぎにこの卒論の調査目的にとってどのような意味で重要なのかを説明する。

ここまでの作業を2-3回繰り返せば、調査全体の目的が自分でだんだんコトバ化できるようになってくる。これでやっと、卒論調査レジュメらしい資料ができるようになる。

2020年4月16日木曜日

テーマ着想の経緯:自分の関心を掘り下げる

先日の課題では、(1)研究テーマ解説 と(2)関連文献の紹介 とをまとめてもらいました。卒論の基礎になる部分の下書き、その第一歩といったところです。これから2ヶ月程度でこの下書きを深め、広げていきます。

教師から押し付けられたレポートのテーマとちがって、卒論のテーマは、自分なりにこだわった説明と、専門的な説明ができなければダメです。およそ1年半かけて作り上げる卒論のような長距離走は、ほんとうに関心が持てるテーマでなければ難しいし、勉強して専門的な知見を盛り込まなければ卒論としては認められないからです。

そこで今回は、前回の課題を土台にして、自分の関心を掘り下げていく作業をすすめてもらいます。これを仕上げてから、第1回のゼミに入ります。やってもらう作業は以下のふたつです。

(A)テーマ着想の経緯を説明。なぜそのテーマが興味深いのかを、実際のエピソード・事例や、実際にあったことでなくても創作のエピソードや事例で説明する。(1,000〜1,200字)
(B)テーマについての自分の立ち位置を説明。紹介した文献は、同じテーマについて研究されている。それらは自分の研究となにがちがうのか。これを説明する。(1,000〜1,200字)

このふたつを説明しないと、人はあなたの研究の話に興味をもってくれません。そして(こちらのほうが重要なのですが)このふたつの作業を通過しないと、自分でもなにをやりたいかをあまり理解していないまま、長期戦に突入することになるのでツラくなり、続きません。

逆に、このふたつの作業をやっておくと、まず、自分の関心が絞れてきます。最初に設定するテーマはたいてい「大きすぎて卒論では手に負えない」という問題を抱えています。たとえば「これからの環境問題について」とか「青森県の地域活性化について」とか。それらの大テーマのからさらに一段階や二段階、絞り込んでいかなければ卒論にとって適正な大きさのテーマになりません。

(A)は、先日の(1)研究テーマ解説をふまえて、そこで解説されたテーマは、じっさいの日常のなかではどのような社会現象としてあるのかを説明します。他人に説明するとき、抽象的なコンセプトはまとめて把握したり、いわゆる掴みとしては有効ですが、ていねいに説明するときには具体例を挙げることが有効です。具体例を挙げ、なぜそれが興味深い現象なのかを説明します。

(B)は、先日の(2)関連文献の紹介をふまえて、自分の関心あるテーマにそれぞれの文献がどのような立場からアプローチしているのか、それは自分の関心とどのように違っているのか(まったく同じ、ならあなたの卒論は必要ないかもしれない)、なぜその文献が重要だと考えるのか、などを説明します。

これらは、前回の文書ファイルに上書きするのではなく、別のファイルに改めて作文して下さい。そして、作文したあとに、前回のものから研究題目の変更の必要性を感じたら、題目は変更して下さい。

2018年11月24日土曜日

公的統計資料・報告書リンク集(その2)

もしかしたら社会学系の卒論に使うかもしれない統計データのリンク先。その1はこちら。

2018年11月14日水曜日

卒論企画書(第1期)の執筆要項

1.研究テーマ(15〜20字)Theme of the reseach(8-15 words)
 卒論のタイトルをイメージしてください。よいタイトルとは、①どんな社会現象(対象)を調べるのか、②それを通してなにを考えたいのか(主題)、の2つが分かりやすく表されているものです。過去の卒論の例を参考にすれば、よいタイトルとそうでないタイトルがどんなものか、分かるかもしれません。
 ただし、それは一発で、かんたんにできるものではありません。最初に仮のものを作っておき、企画書のほかの欄をすべて書いてしまってから、もういちど考え直して作ったもののほうが、よいでしょう。制限字数内で熟考してください。

2.研究テーマの解説(200字程度)Description of the theme(Not less than 70 words)
 卒論には読者がいます。タイトルを読んだだけでは、研究テーマの意味はすぐに分からないので、テーマを他人に分かるように解きほぐして説明してください。
 研究テーマにとって重要な言葉(キーワード)があれば、それが何を意味しているのかを説明する、どんな社会現象あるいは社会集団(対象)を調べるのか、その社会現象や社会集団(対象)はどのような性質を持っているのか、それを調べることを通してなにを考えたいのか(主題)を説明する、などです。

3.研究テーマの着想の経緯(200字程度)How did you find the concept of this research?
 なぜこの研究テーマで卒論に取り組もうと思ったのか、なぜこの研究テーマに興味をもったのか、自分のこれまでの経験や知識から、きっかけやいきさつを説明してください。例えば実習のなかにきっかけがあったなら、それがどんなきっかけで、なぜ興味をもったのかを説明してください。

4.研究テーマに関する先行研究の紹介および問題点(400字程度)Litarature review(not less than 140 words)
 自分の研究テーマについて、重要な先行研究(社会学か人類学の論文あるいは書籍)を3点、紹介してください。そのテーマにとってそれらの先行研究がどのように重要なのか、それぞれどのような視点、側面、方法からアプローチしているのかなど、特徴を捉えた紹介をしてください。また、どのような問題点をもっているかということを述べ、そこを自分の研究が克服するのだと言えると、もっとよいでしょう。

5.研究の目的(200字程度)Purpose of the Research(Not less than 70 words)
 研究テーマは大きなものですが、そのすべてをカバーするのは卒論では通常は難しいです。先行研究で明らかになっていることを踏まえながら、自分の研究の目的を絞り込んでください。

6.調査の対象と方法(200字程度)Objects and methods of the research(Not less than 70 words)
 研究目的に沿って、妥当と思われる調査対象と方法とを設定してください。なぜその対象で、なぜその方法なのか理由が分かる書き方をしてください。文書調査とインタビュー聞き取り調査、質問票調査とインタビュー聞き取り調査、観察調査と・・・のように2つ以上の方法の組み合わせを推奨します。

7.この研究の社会的あるいは学術的意義(200字程度)Expected social or academic impacts
 研究の結果が、誰にとって、どのように活かしうるのかという社会的意義を書いてください。あるいは、先行研究になかったこういう発見・議論ができるんだ、という学術的意義を書いてください。

8.具体的な調査内容(400字程度)What will be elucidated, and to what extent and how will it be pursued(Not less than 140 words)
 先に述べた調査対象・調査方法によって、具体的にどのような調査をおこなうのか、目的のどの部分、どの側面が明らかになるのか、分かるように書いてください。

9.予測しうる結果(300字程度)Expected result of the research(not less than 70 words)
 調査の結果、どのようなことが分かりそうなのか、現時点でイメージできる結果を教えてください。

10.調査のスケジュール(第1期は、2019年01月07日まで) Schedule
 これまでに書いたことに乗っ取って、なにを、いつまでにやるか、が分かる具体的なスケジュールを組んでください。ちなみに、冬休み明けまでに、卒論調査の3分の1〜半分が終わっているという目標です。

2017年12月27日水曜日

事例の解説を作文する

観察、聞き取り調査、出来事の詳細などについて、自分が扱いたいものごとの現実でのあらわれかた、聞き取りデータのなかの語られ方(じっさいの語りの一部分)など数量化して示すことの難しいものごとや語り手の意識を、事例として示します。事例を示すことのメリットは、現実社会やそこに生きる人の手触りある質的なデータを生き生きと示せることです。

事例は基本的にどのような示しかたになっているか、よい事例の示しかたがどんなものかについては、なんでもいいので事例が載っている社会学・人類学の論文をみてみることが必須であり近道です。講義や実習、ゼミで参照した論文、卒論集、参考文献で自分がみた論文の事例など、数多くの事例の示し方をみておくと自分で事例の入った論文を作るコツを掴めます。

使用上の注意点:
以下の①〜⑥をひととおり読み、全体の工程を理解しイメージしてから作業をはじめる。全体を読まずにいきなり①からやっていかないこと。よくわからないときには、ゼミや実習などの友だちに聞いて相談しましょう。

① どのようなインタビュー聞き取り、あるいはどのような観察調査をして、それらのデータを得たのか
② そのデータを集めた目的、どのような結果の予測や仮説(見通し)があったのか。なにを分かりたいためにその聞き取り/観察をしたのか
③ 得られた聞き取り(語り)データ、観察データのなかのどのような部分を抜き出して囲い内に示したのか、その抜粋の方針を書く。囲い内にアンダーラインを施した箇所があれば(あったほうがよい)、どのような基準に基づいてアンダーラインを施したのか、その着目点を明らかに
④ 事例データ(囲いの中)について、詳しく読解する。テキストデータの表面を読んだだけでは分からないニュアンスなどの補足解説。たとえば聞き取りデータなら、囲いの前後でインタビュアーとのこういうやりとりがあって、そのあとでこの語りが出てきたという前後文脈説明、あるいは語りのなかに出てくる言葉で読者は分からないローカル・タームや人物・場所の解説
⑤ 個別の囲いデータ(観察/聞き取り)についての説明を書き、複数の囲いデータについて同様に説明したあと、それら複数の語りデータ、あるいは語りデータとほかのデータとの組み合わせから、総合してなにが言えるのか
⑥ 当初②の結果予測・仮説および着目点に照らしてみれば、どうだったかという考察

これらの①〜⑥についてのていねいな解説文を作文しましょう。

図表の解説を作文する

質問票だけではなく、観察、聞き取り調査についても、自分が扱いたいものごとの傾向を示すために、数量化してカテゴリ別の分布を示すことのできるデータを図表化します。図表化することのメリットは、指摘したい傾向が「一目瞭然化」できることです。

図表は基本的にどのような造りになっているか、よい図表がどんなものか、については、なんでもいいので図表が載っている社会学の論文をみてみることが必須であり近道です。講義や実習、ゼミで参照した論文、卒論集、参考文献で自分がみた論文の図表など、数多くの図表をみておくと自分で図表を作るコツを掴めます。

使用上の注意点:
以下の①〜⑥をひととおり読み、全体の工程を理解しイメージしてから作業をはじめる。全体を読まずにいきなり①からやっていかないこと。よくわからないときには、ゼミや実習などの友だちに聞いて相談しましょう。

① どのような観察、質問票、あるいは聞き取り調査をして、それらのデータを得たのか
② そのデータを集めた目的、どのような結果の予測や仮説(見通し)があったのか
③ データをどのように整理・加工してその図表ができたのか
④ その図表をどのようにみればいいか、どこになにが書いてあるか、みたい現象についてどのような傾向が図表のどこから分かるか(図表から誰もが直接読み取れること)
⑤ 図表からわかる傾向は、なぜ出てくるのかという(図表から直接読み取れない)解説
⑥ 当初②の結果予測・仮説に照らしてみれば、結果はどうだったかという考察

これらの①〜⑥についてのていねいな解説文を作文しましょう。

2017年11月29日水曜日

ヒントをどのくらい拾えるか

じっさいに実習やゼミでみなさんのようすをみていても分かりますが、3年生は、不安が大きくなってくる時季かと思います。年明けから春休み前には、就活と卒論という、二大難事業が待ち構えているからです。どちらも、勉強(情報収集によって準備をすすめる)をすればするほど、不安は小さくなります。この場合の勉強でやることは、まず図書館・インターネット・雑誌や新聞、そして人に会って話をすることなどによる情報収集と、自分なりの整理のことでしょう。

この、①情報収集と、②自分なりの整理との2つは、地味だけど、どんなときにでも応用が利く基本中の基本作業で、これができる(習慣化されている)とできないのとでは大違いなのです。以下の話も、読み進んでいくとこのことに関連してきます。

なにをしていいのか分からない、ということ自体が悩みになっている人が多いようですが、結果なにもしないのではムダな時間です。なにかやるしかないでしょう。なにかやってもなにをしていいのか分かるようにはならないという人は、やる量が足りないか、やり方がちょっと的外れか、どっちかです。

大学受験のときに「傾向と対策」を経験した人も多いかと思います。情報収集によって出題形式や傾向を分析し、それに合わせた練習を重ねる。そのガイドが参考書・問題集、高校や塾や予備校の教員だったはず。就活も卒論も、大学受験とのちがいは目的とガイドを自力で探さなければいけない、という点です。

就活については大学のキャリアセンター、卒論についてはゼミ教員(私)がガイドとして存在します。しかし、この人たちはあなたに逆に「どういう方向に行きたいの?」「どういうことに関心があるの?」と聞いてきます。かれらはあなたの目的とニーズに合わせて、かれらの専門性を発揮したガイドをくれます。

大学3年生で自分の関心、自分の行きたい方向を自分で掴むのはかんたんではないでしょう。でも特殊な能力は必要ありません。やり方としてはやっぱり、王道の「①情報収集と、②自分なりの整理」しかないのです。書かれた情報や人と話した情報の収集(input)を着々とすすめることと、それを整理してノートに言葉や図表にしておくこと(output ver.1)。これを自分なりに考えながらやることと、さらに、ノートに書いた内容をもう2、3歩すすめて「人に説明して、分かってもらえる形」にしていくこと(output ver.2)。そういう地道な作業を繰り返している人はいろいろできるようになっていきます。

なにができるようになるかというと、自分の目的(やろうとしていること)やニーズ(なにを知りたいか、助けて欲しいか)を相手をみて表現できるようになるので、ガイドを上手く使えるようになって、ますますinputの要領も掴めるし、outputも上手くなります。俗に言う「コミュニケーション能力」です。このことが卒論にも就活(試験・面接)にも有利にはたらくのは明らかです。ばくぜんと不安を抱いて時間をすごさないで、そういう努力をしてください。「言われたことをやる」姿勢だけでは、じつはどこにも行き着きません。そもそもあなたたちが考えを示さない限り、こちらからもなんのガイドしようもないのです。

5年以上前の話です。当時、勤めていた大学で知り合った大学生が就活で悩んでいました。自己アピールができないというか、思いつかないのだということでした。かれは「自分にはなにもない」と、ばくぜんと悩んでいました。あとは、東京で就活したときに接した周りの就活大学生の雰囲気にちょっと嫌気がさしていたこともあったようです。私はまず、「就活ノート」を作るように伝え、なにがアピールできるかをいきなり考えるのではなく、ノートに自分が大学時代にやったことを50、箇条書きで書き出すように伝えました。例えばその50のなかから、大事だと思われたものを選考して半分残し、それらひとつひとつの意味をどのように人に説明できるか(なぜやったのか、やってどうだったのか)を考えてまたノートに書きます。就活面接ネタ帳の出来上がりです。あとは、就活先によっていくつかのネタの組み合わせでストーリーを作って、ということをやっていけばいい。実績(実際にやったこと)をもとに話すことと、やったことに意味をつけて他人に説明できることが重要なだけで、スペシャルな実績が必要なわけではありません。その後かれは就活を無事終えます(この人です)。

就活面接は、場数を踏めば要領も徐々に掴めてくるので小さな失敗はその先への練習だと思って気にしない(失敗しない就活はない)。就活のこころがけは、別のエントリにもすでに書きました。

ところで私が常々思うのは、就活にしろ卒論にしろ、なぜだかわかりませんが「アンテナを立てていないかんじ」のする人が意外と多いことです。とても狭い意味で「自分に直接関係のあること」だけを拾っていこうとすると(たとえば、××さん、と自分が名指しされたことだけ反応していると)、多くのヒントを逃してしまうことになります。

私は教員としてはいいかげんなほうなので、ゼミでほかの学生の発表をまったく聞いていない風の学生がいても、その「態度の悪さ」だけで叱るようなことはあまりしません。面倒だし時間のムダだからです。ある人がアドバイスを受けているとき、自分とトピックやテーマはちがっても、自分にも同じように調査方法や論文の書き方で分からない共通のポイントが出てくるのです。そのとき拾えるヒントがあるかもしれないのに、ほかの人の話だと決めつけて聞いていないことで先々時間の損失をします。そういう姿勢だと、就活と卒論で過ぎていく4年生の1年間がどんよりしたかんじになりやすいので、気をつけた方がいいと私は思います。

うすうす直感しているかもしれませんが、就活も卒論も、いまのみなさん自身の身の丈ジャストのままでは手に負えない活動で、どちらも取り組みを通して成長していく(やりながら学習していく)活動だと思っています。ここで言う学習とは、その都度の自分の達成したことを自省的に分析し、次に備えることです。卒論も就活も、成長する前に強制的にスタートしなければならないので、最初は勇気だけは要ります。

4年生のみなさんをみていると、成長を感じる人ほどその成長の波にうまく乗って結果的にいろんなことを処理できています。特別に自分に向けられていない情報からもヒントを拾ってinputできるし、相手の意見や立場を想定したoutputも上手になってきます。だから、いまの自分の身の丈ジャストのまま、自分宛に発信される情報だけ受信する姿勢のままではなく、もう少しアンテナを立てて、周囲の情報からもヒントを拾っていくという努力や工夫が加われば、事態は好転していくと思います。

というわけで、ヒントをどのくらい拾えるかが勝負だと思っています。就活も卒論も、みなさんそれぞれのニーズ(興味のあるキャリアの方向や研究の関心)を把握したうえですすめる個別のプロジェクトなので、大学受験よりも数段複雑なのです。みなさんひとりひとりの求めに、ゼロから対応している時間は、じつはこちら(ガイド側)にはありません(∵ みなさんの人数>>ガイド人数)。

そして、卒論も就活もゼロからではなく3か4からスタートしないと、ゴールの10まで行き着くことは難しい。4年次の初めにゼロからスタートするのでは、ちょっと間に合いません。その時点で3か4程度のポテンシャルがあれば、自力で考えて、多少へたくそでも人に自分のやろうとしているプロジェクトを説明できます。3年次までの大学教育のカリキュラムは、その3か4までの力がつくように組まれているのです。そこまではみなさん自身も責任を持たなきゃいけません。

この事情(基礎の部分は自力で)は、卒業してから先もすべてそうです。なんであれ、ゼロから10まで教えなきゃダメそうだな・・・という人を、あなたが面接員なら採用したいとは思わないでしょう。採用したら面倒そうだから。

もう分かりましたよね。3か4から10までガイドすることはできますし、それはゼミ教員の役目(あるいはキャリアセンターの役目)だと思っています。そこまでは、自分でやるしかないのですよ。「なにをやったらいいのか迷っています」という相談は「どう迷っているのか、なぜ迷っているのか教えてください」というこちらの質問から始まるのです。

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※ 180105追記
書き忘れていましたが、ゼミの卒論集は最大の参考書です。卒論とはどんなものかというゴールをイメージするのにも、卒論の全体構成はどうなっているのかも(各卒論の目次)、自分で集めたデータをどのように整理して論文に組み込むのかも(各卒論の図表や事例)、ここから学べます。それでも分からないことを、ゼミで処理すればいいのです。

2017年8月18日金曜日

地域社会学卒論集 2015-2016

ちょっと前になりますが、ゼミ1期生と2期生あわせて10人分の卒論を印刷・製本した『地域社会学卒論集 2015-2016』(約400ページ)ができました。

内容はけっこうバラエティに富んでいて、読み応えあります。各論文には、私のコメントもつけています。卒業研究の参考書としては絶好かと思います(ゼミ選びの参考書にも)。

読みたい人は、現役のゼミ生に見せてもらうか、2冊だけ実習室に置いてあるのでそれを読むかしてください。そのうち、大学図書館にも所蔵してもらう予定です。どうしても自分のものが欲しい場合には、相談してください。

2017年4月19日水曜日

インタビューの教訓、いくつか

昨日の3年ゼミでは、インタビュー練習も兼ねて、卒論でなにをするかについて3人1組(聞き手2人、語り手1人)でインタビューしました。あくまで、現時点での卒論テーマを探すインタビュー、そのための課題発見のためのインタビューです。ゼミの場では時間のために言い切れなかったのですが、昨日みなさん自身が言っていたことも含めていくつか教訓があると思い、以下に記しておきます。来週以降に活かしてください。

A.インタビュアー(聞き手)

  • 上からいかない。
  • とにかくまずは「現時点で」思っていることを正直に話せばいいんだな、という気にさせる。インタビュアーが自分のことをいろいろ話すというのもひとつの有効法。
  • ゴールまで直線を狙いすぎた質問を連続させない。卒論の調査テーマについてのインタビューだ、ということはお互い分かっている。スタートは「調査テーマを教えてください」でもいい。しかしそこから先、「なにを調べようとしていますか?」「具体的には何を?」といった詰問調になるのは上手じゃない(上から気味)。もともと現時点では答えるのが難しい質問なのだから。「例えば〜」みたいにインタビュアーのほうから例を出してみるのも有効。
  • [参考]インタビューは、相手によってやり方も変わる。たとえば、聞き手と語り手のあいだの知識・経験に明らかな差がある場合と、ほぼ互角である場合。いまやっているのは後者。
  • 通常のインタビューでは相手の経験や考えを聞くのが目的なので「議論」のようなことはしないが、今回の場合は多少の議論になってもいい。例えば、答えのなかでわからない点があったら尋ねる、相手の話してくれたことにあえて「こういう場合はどう調査するんですか?」などの反問を返す、など。
  • 一方で、ほとんどの場合はまだ卒論についてあまり具体的には考えられていない。迷っていたり困っていたりする場合もあるので、なにが難しい点だと思っているかを聞くのも、課題発見になるのでいいやり方だ。
  • 質問とやりとりを重ねていくことによって、語り手の論点が絞り込まれていく、調査の具体的なポイントが分かっていく、あるいは調査上で無理っぽい点がわかっていく、など最初は語り手のなかではっきりしていなかったものごとが、掘り下げられたり具体化していったりすることが、望ましいインタビューのイメージ。
  • あるていどやりとりがすすんだ時点で、まとめを入れてあげるとお互いに整理される。インタビュアーは、ときどき司会の役目もつとめることになる。

B.インタビュイー(語り手)

  • 上からいかない。基本的にこのセッティングは聞き手のほうが大変。やりとりに貢献しようという姿勢を忘れずに。
  • 難しいコトバを使わない。平易なコトバでかざりのない説明をする。
  • 誰かに言われていること(通説など)と自分の視点や見解とを区別して、どちらも説明する。
  • それらしい答えをなんとなく答えるのではなく、自分が考えたいことを伝わるように説明するようにがんばる。どう答えていいか分からない場合は質問者に、なにについて・どのていど具体的に答えるべきなのか、などその先の展開に貢献する方向の逆質問なら可。
  • 答えに困るのは、勉強していないからというだけではなく、卒論にとりくむ当事者にまだなりきれていないから。当事者スイッチを入れよう。スイッチを強制的に入れるために、どんどん宿題を出してもいいんですが…いまはやめときます(笑)。
  • 分かってるフリ、知ってるフリのような体裁を整えるのはまったくムダ。むしろ分かっていない点をはっきりさせる、無理な点をはっきりさせる、どこに絞ればいいかをはっきりさせることだけが重要。