2015年3月14日土曜日

関連文献紹介の要点(その1)

前回エントリーで、4年生には自分の卒論関連文献の紹介をしてもらう、と書きました。前期ゼミの時間に各自1回やってもらいます。もっと必要な人には「卒業研究」の枠内でやってもらいます。

さて、関連文献の紹介の鉄則です。

  • 1つ紹介の場合でも、それだけしか読んでいないのは絶対ダメ。いくつか読んだなかで、それを選択して紹介する。
  • ひとつのテーマやトピックに対しては、複数の立場や視点の論者がいるはず。そのなかで、選んだ文献が占める位置を把握。だから複数紹介のほうがいい。
  • その文献の主張に対する自分の卒論の位置取りまで示せれば、申し分ない。

さいごまでは無理かもしれませんが、最初はかならず、できる限り2番目まではクリアしてください。

本だけではなく、学術雑誌の論文も、国立情報学研究所のCiini大学図書館の雑誌情報/電子ジャーナル情報などを利用し、さがしてみてください。

関連文献のさがし方については、以下に昨年10月に配布したレジュメ「卒論への道(その3)」の一部を再掲します。

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  • 自分の調査にとってメインの参考文献 → 単著もの指定。新書、論集は除く。先輩の卒論(単著)は、参考文献としても、卒論の過去例としてもとても有用なのでかならず複数チェックする。
  • 単著でも『~入門』『~概論』のような本は、参考書として勉強にはなるが、ここでいう卒論に直結するようなメインの参考文献ではない。(そして、そのような本は最初から最後まで読んではいけない。自分に関係のある章をいくつか吟味して、そこだけ集中的に読むべき。論集の場合も同じ。)
  • 最初の段階では、webで探すよりも、図書館に行って本棚に並んでいる本のなかから探してみる方がラク。(例;まず1冊これかな?というものをwebで探して、図書館でその本の周りにある本とかみてみる。)web検索では適切なキーワードが分かっていないといけない。図書館の本棚はキーワードではなくテーマ、分野、トピックなどでグループ分けしている。
  • 興味ありそうな本なら、①目次、②本文の最初と最後の10ページずつ(つまり序章と最終章)、③本文全体で図表によって示されているデータすべて(写真含む)、の3つは必ずみてみる。それで、自分の調査のヒントがありそうだと思ったら、④巻末の参考文献リストをみて、関連書にどんなものがあるかを調べる(巻末ではなく、各章の終わりにリストが載っていたり、註という形でしか出ていないものもある。参考文献がどこにも示されていない文献はダメ)。→ そして・・・⑤より興味のありそうな章から読んでいく。
  • 世の中にとっては大事な本でも、自分にとっては興味の持てない本、卒論の調査にとっては関係ない本というのはいくらでもある。①~③の途中で、これはまったくちがうな、興味を持てないな、と思ったらひとまずその本は候補から落とす。
  • 10冊くらいについて上の①~③をやっていくと、目次をみただけで、その本全体の内容がなんとなくイメージできるようになっていくので便利。
  • 卒論は調査して書くので、調査して(できれば現地調査)書かれた本でないと、重要参考文献にはならない。文献は、全体をまんべんなく読むのではなく(退屈)、なにが調査対象で、どのような視点で、なにが問題とされ、どのような方法で調査をおこなって、どういうデータのまとめ方をしているか、をチェックする(卒論調査の方針を立てるという目的に沿った読み方)。結論としてなにが書かれているか、よりもどういう手順で論じられているかを読み取ることのほうが大事。
  • 数をみないと当たらない。2-3冊からではなく、50冊から2-3冊選ぶくらいのつもりで。
  • 気になる文献すべてを手に入れたり、図書館や人から借りたりすることはできない。でも先々のために自分でリストは作っておこう。文献リストの作り方は、先輩の卒論のものを参考にする。
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また、論文の読み方についてはここを参照。この場合は、本の読み方もほとんど同じです。