2015年3月29日日曜日

ドツボにはまらない心得

4年生のみなさんは、就活(および公務員試験)と卒論という2大プロジェクトを抱えて、これから1年間とても忙しいと思います。どちらも難度のある長期戦なので、キツくならずに、なんとか姿勢をキープして乗り切ってください。就活と卒論、どちらにも共通して言えることで、両立するためにも必要な心得です。

  • スタートラインにうまく立つために、情報の共有を

自分の周りと情報を共有する(とくに初期は)。それで損をすることはない。友だちとはこまめに情報交換する。人から得ようとするだけではなく、人にも教えることのできる情報を用意する。ゼミ生どうしでも。そのうえで独自の活動と工夫をしていく(底上げ効果)。そうするとはりあいもおもしろさもでてくる。個別にやるだけでは効率は悪く不安が大きくなりやすい。

  • スケジュールのマネジメントをしっかりやる

これをやることで、卒論も就活もストレスが大きく減る。説明会、ゼミの発表日など、いろいろ。調整の融通が利きやすいのはゼミの方だが、直前になってというのは勘弁してください。遅くとも1週間前には次の7日間の予定は固めておくこと。なんとなく就活に流されるのはダメ(結果、就活にも卒論にも消耗する)。就活のなかで優先すべき事項とその理由を自分で決める、ということも含めてのスケジュール管理。

  • やりながら身につけていったことをすぐ次の成果につなげる

やりながら少しずつ要領がのみ込めてきてスキルも上がる(経験値の上昇)。自分でそれが分かってくればさらに伸びる。分かるためには、やりながら得たネタや「できるかも」という感触を、すぐ次のゼミ発表や面接などの実戦に生かし、取り入れていく。芸の基本は繰り返し+α。つねにその時点でのものを見せていくしかない。「まだできてない→今回は見送り」はキリがないし、できることが少ないかのような錯覚を呼ぶ。

  • 完璧を意識するのは無駄、調子を落とさず継続する

「自分とのたたかい」を手なづける。完璧を目指すとか、完璧な人を想定して自分を減点評価するのは無駄。自分が落ち込むキッカケを自分で作ることはない。自分の能力や持久力、クセについて、いろんな見積もりと対処ができることがいちばん大事。つまり、自己評価は「安定しているかどうか」だけが問題なのであり、自己評価が高い/低い」はけっこうどちらでもよい。

  • あとは、人と会うこと

基本。卒論でも就活でも、人と会って話すことに積極的になると転がりが早くなる。もちろん時間には限りがあるし、多く会えば会うほどいいということでもない。会うべきとき、会えばいいかもと思ったときに気後れして会わないよりは、会っておいた方が後悔しない。


!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
〔追記〕
うーん・・・就活というのは、突然3日前に面接の呼び出しがかかったりするんですね。経験のない私は、就活中の4年生のみなさんの話から分かりました(感謝)。上では「遅くとも1週間前に次の7日間の予定を固めろ」と言いましたが、なかなか難しい面もありますね。いずれにしろ、上で言ってることの基本は変わりません。ドツボにハマらぬよう、自分を大事に就活と卒論を。つねに連絡はしてくださいねー。

2015年3月14日土曜日

関連文献紹介の要点(その1)

前回エントリーで、4年生には自分の卒論関連文献の紹介をしてもらう、と書きました。前期ゼミの時間に各自1回やってもらいます。もっと必要な人には「卒業研究」の枠内でやってもらいます。

さて、関連文献の紹介の鉄則です。

  • 1つ紹介の場合でも、それだけしか読んでいないのは絶対ダメ。いくつか読んだなかで、それを選択して紹介する。
  • ひとつのテーマやトピックに対しては、複数の立場や視点の論者がいるはず。そのなかで、選んだ文献が占める位置を把握。だから複数紹介のほうがいい。
  • その文献の主張に対する自分の卒論の位置取りまで示せれば、申し分ない。

さいごまでは無理かもしれませんが、最初はかならず、できる限り2番目まではクリアしてください。

本だけではなく、学術雑誌の論文も、国立情報学研究所のCiini大学図書館の雑誌情報/電子ジャーナル情報などを利用し、さがしてみてください。

関連文献のさがし方については、以下に昨年10月に配布したレジュメ「卒論への道(その3)」の一部を再掲します。

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  • 自分の調査にとってメインの参考文献 → 単著もの指定。新書、論集は除く。先輩の卒論(単著)は、参考文献としても、卒論の過去例としてもとても有用なのでかならず複数チェックする。
  • 単著でも『~入門』『~概論』のような本は、参考書として勉強にはなるが、ここでいう卒論に直結するようなメインの参考文献ではない。(そして、そのような本は最初から最後まで読んではいけない。自分に関係のある章をいくつか吟味して、そこだけ集中的に読むべき。論集の場合も同じ。)
  • 最初の段階では、webで探すよりも、図書館に行って本棚に並んでいる本のなかから探してみる方がラク。(例;まず1冊これかな?というものをwebで探して、図書館でその本の周りにある本とかみてみる。)web検索では適切なキーワードが分かっていないといけない。図書館の本棚はキーワードではなくテーマ、分野、トピックなどでグループ分けしている。
  • 興味ありそうな本なら、①目次、②本文の最初と最後の10ページずつ(つまり序章と最終章)、③本文全体で図表によって示されているデータすべて(写真含む)、の3つは必ずみてみる。それで、自分の調査のヒントがありそうだと思ったら、④巻末の参考文献リストをみて、関連書にどんなものがあるかを調べる(巻末ではなく、各章の終わりにリストが載っていたり、註という形でしか出ていないものもある。参考文献がどこにも示されていない文献はダメ)。→ そして・・・⑤より興味のありそうな章から読んでいく。
  • 世の中にとっては大事な本でも、自分にとっては興味の持てない本、卒論の調査にとっては関係ない本というのはいくらでもある。①~③の途中で、これはまったくちがうな、興味を持てないな、と思ったらひとまずその本は候補から落とす。
  • 10冊くらいについて上の①~③をやっていくと、目次をみただけで、その本全体の内容がなんとなくイメージできるようになっていくので便利。
  • 卒論は調査して書くので、調査して(できれば現地調査)書かれた本でないと、重要参考文献にはならない。文献は、全体をまんべんなく読むのではなく(退屈)、なにが調査対象で、どのような視点で、なにが問題とされ、どのような方法で調査をおこなって、どういうデータのまとめ方をしているか、をチェックする(卒論調査の方針を立てるという目的に沿った読み方)。結論としてなにが書かれているか、よりもどういう手順で論じられているかを読み取ることのほうが大事。
  • 数をみないと当たらない。2-3冊からではなく、50冊から2-3冊選ぶくらいのつもりで。
  • 気になる文献すべてを手に入れたり、図書館や人から借りたりすることはできない。でも先々のために自分でリストは作っておこう。文献リストの作り方は、先輩の卒論のものを参考にする。
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また、論文の読み方についてはここを参照。この場合は、本の読み方もほとんど同じです。

2015年3月3日火曜日

2015年度前期のゼミ

やり方や、やることの細かい点については、初回に決めたいと思いますが、ゼミメンバーのみなさんとこれまでなんとなく話して、決まってきた大枠を確認しておきたいと思います。

  • 3年生、4年生の合同ゼミであること
  • 3年生は、前回エントリーで示したような指定文献の講読
  • 4年生は、(1)自分の卒業研究と関連の深い文献紹介
  • 4年生は、(2)3ヶ月に一度くらい、卒論調査発表
  • 4年生は、(3)3年生の発表にコメント

というかんじです。
だいたい3年生の発表と4年生の発表が半々くらいの割合になるように考えます。発表がなく、私から話をするだけの回もあると思います。

なお;

  • 4年生は、卒論調査をやる場合にはゼミ欠席をみとめる
  • そのかわり、翌週には「卒業研究」の時間に報告する

ゼミの時間帯は、火曜日の14:20-15:50、16:00-17:30の2コマです。時間オーバーしないようにこちらも気をつけます。

このほか、就活についての情報共有とか勉強会のたぐいを、希望があれば4年生主導でやってもいいかもと思っています。たとえばゼミの最後の30分を利用するとか。大学受験と同じで、あるていど情報共有をしておけば不安も減るし、やることがみえてくるかもしれませんので、ほかにそういう場がなければ、そういうのもいいでしょう。

それから;

  • 4年生はゼミのほかに「卒業研究」の時間があります

おもに、やってきた調査報告とこれからの卒論のすすめ方を話し合います。調査報告については、こちらも参照。時間帯は水曜日の14:20-15:50、16:00-17:30の2コマ分ですが、毎週はやりません(その時間を利用して調査をすすめましょう)。いまのところ、前期は隔週でやる予定です。1回に発表する人は3人まで。これも、細かいことはゼミ初回にお話ししましょう。

2015年3月2日月曜日

3年生のゼミ講読文献(候補)

新3年生(現2年生)の2015前期ゼミでの講読文献候補です。


  • 日本村落研究学会編『日本農村の「20世紀システム」ー生産力主義を超えて』農山漁村文化協会、2000年
  • 日本村落研究学会編『消費される農村ーポスト生産主義下の「新たな農村問題」』農山漁村文化協会、2005年 (→参照
  • 湯沢雍彦、宮本みち子『新版 データで読む家族問題』NHKブックス、2008年 (→参照
  • 小浜ふみ子『都市コミュニティの歴史社会学ーロンドン・東京の地域生活構造』御茶の水書房、2010年 (→参照
  • 山口恵子編『故郷サバイバルーフィンランドと青森のライフスタイル』恒星社厚生閣、2011年 (→参照
  • 奥井亜紗子『農村−都市移動と家族変動の歴史社会学ー近現代日本における「近代家族の大衆化」再考』晃洋書房、2011年 (→参照
  • ハワード・ベッカー(村上直之 訳)『完訳 アウトサイダーズ』現代人文社、2011年 (→参照
  • 舩橋晴俊、長谷川公一、飯島伸子『核燃料サイクル施設の社会学ー青森県六ヶ所村』有斐閣、2012年 (→参照
  • 上野千鶴子『女たちのサバイバル作戦』文春新書、2013年


難易度や分量はさまざまですが、この中から3点〜5点ほどを選んで(分厚い本は一部を取り上げる)読んでいきます。

とくにどれを読みたいという希望、ほかにも講読希望の文献があれば、連絡をください。
4月13日(月)までに候補を固め、14日(火)のゼミの時間に話しあって決めます。