2015年6月19日金曜日

社会学の論文検索(その3)

前回、前々回のエントリーにつづいて、社会学の論文をさがすサイトの紹介です。

前回(その2)まではJ-Stageという、サイト内検索が可能なwebサイトの紹介でした。今回は有力な論文を含む紀要や大学院生中心のジャーナルのwebサイトです。(サイト内検索は*印のついたもののみ可能。)

順序としては前々回の2誌でまず検索、なかったら前回紹介した各誌のなかで関連しそうなジャーナル(雑誌)のwebサイトに行って検索。これらにある程度慣れてきて、さらに時間があったら以下のwebサイトをあたってみる、というのがよいでしょう。

ちなみに、前回、前々回紹介の各誌webサイトで検索してヒットしなかった場合は、以下の各誌webサイト内をさがしまくる前に、検索語を再検討したほうがいいでしょう。


【大学院生の論文など】
【大学紀要】


2015年6月11日木曜日

社会学の論文(日本語)検索

卒論の参考文献として、関連論文を探したいときに、以下のwebサイトが便利です。

『社会学評論』『ソシオロジ』という、日本の社会学を代表する学術誌2誌のバックナンバーに掲載された論文のPDFファイルが、検索でき、ダウンロードできます。


もちろん、みなさんごぞんじCinii(国立情報学研究所の論文検索サイト)は、社会学関連のほかの雑誌、それから他分野の雑誌に掲載された論文もすべて検索できます。みなさんが書くのは社会学の論文なので、まずは『社会学評論』『ソシオロジ』2誌の論文を検索してから、満足な結果が得られなかった場合にCIniiで検索、という順序でやれば効率がいいでしょう。

上記サイトが便利なのは

(ⅰ)上記2誌掲載のすべての論文が検索でき、downloadできる。Ciniiはタイトルだけでdownloadできないものも多い

(ⅱ)検索してヒットしたものが複数となる場合も多く、それらの「要旨」をみていけば、そのなかから関連しそうな論文を探せる

(ⅲ)検索語で「書評記事」がひっかかったら、世の中にある関連本(社会学)の概要を(1-2ページ程度で)知ることができる

という点です。

(ⅰ)(ⅲ)のメリットは、分かりやすいと思います。
(ⅱ)のメリットは、分かりにくいかもしれません。説明します。

以下の文章を読んでみてください。図書館での参考文献(本)の見つけ出し方を説明した文章ですが、じつはこれとポイントは同じなのです。

図書館のOPACで卒論の参考文献をみつけようとするとき、直接自分の調査トピックや対象を検索語として入力しても1件もヒットしない、という経験はあるでしょう。逆に50件以上ヒットしてしまって困る、ということもあるかもしれません。そんなとき、どうすればいいか。

正攻法は、そのトピックの一歩奥にどんなテーマがあるか考えてみることです(e.g.「大学生の趣味」ではなく「若者」「消費」「余暇」などでも検索)。この一歩奥のテーマを探す方法は、ひたすら考える(ひとりブレインストーミング&KJ)ということでもいいですが、ほかにもあります。手持ちの『社会学』のテキストでそのトピックを探してみて、どんなテーマの章で扱われているかを調べる。あるいは社会調査実習室の『新社会学事典』でそのトピックが載っている項目を読み、関連するテーマとおぼしき単語で検索をする、などです。

そうして見つけ出した検索語で再検索。1-2冊しかヒットしない検索語はハズレだろうと思いましょう。50冊以上ヒットした場合はまた上記のやり方などで絞り込みます。10冊~30冊くらいなら、OPACから離れて図書館の本棚に行くこと。なぜかといえば、きちんとジャンル分けされた図書館の本棚で探すということは、その本の周りにある関連しそうな本にも出会いやすい、ということだからです。

上記の社会学の雑誌2誌の検索の話に戻りましょう。ヒットした複数の論文のタイトルには、直接検索語が入っていなくても、その論文の本文中のどこかに検索語があればヒットします。ということは、その論文の内容は関連していることが考えられます。参考文献候補ですから、内容をチェックしましょう。

作業が膨大になる、と心配する必要はありません(多少の労力は、能力を手に入れる代償だと思ってがんばるしかない)。

慣れないうちはタイトルに検索語がないと中身をみないとまったくわからない、という状態です。が、慣れてくると「そのひとつ奥にあるテーマ」的なものがニュアンス的に分かってくるので、検索語はタイトルに入っていないにもかかわらず、タイトルをみただけで「これ、けっこう関連かも」と分かるようになります。

それまでは、ヒットしたもの全部の内容をチェックしてみましょう。なにも全ページ読むことはありません。論文は、最初の半ページほどに短い「要旨(要約)」が載っています。そこを読んで、全文読むかどうかを判断すればいいだけのことです。

全文読んでいく場合も、なんとなく読むのではなく(時間のムダ!)、この2回のゼミで練習した「論文の構成を意識した」「書き手目線に立った」読み方で機械的に読んでいくことが効率的です。

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【追記】
「要旨(要約)」の件ですが、上に書いたように、論文冒頭に半ページほどの全体の要旨(要約)文が載っているのは『社会学評論』のほうで、『ソシオロジ』は論文の本文と参考文献リストのあと、最終ページに英文の要旨が載っています。英文はちょっとハードルが高いかもしれませんが『ソシオロジ』は現在upされているバックナンバーの数自体が少ないので、ヒットする論文数も少ない。がんばって全文チェック。

2015年6月3日水曜日

パラグラフ・ライティングには二重・三重の利得がある

昨日のゼミでは卒論の出来上がり(全体20,000字程度)までの工程イメージを伝えました。どこでなんのために頭を使うか、時間がどこでどれだけかかるかを考えましょう。早く取りかかれば取りかかるほど、見積もりが立つようになります。

論文は構成重視。基本は以下の4部構成です。

A. 序論(はじめに)
B. 対象・目的・方法
C. 本論
D. 議論と結論

それぞれの内容がどのようなものかは、昨日のレジュメを参照。それらの内容をどうやって書き進めればいいかは、レジュメを参考にしながら、その都度の面談で、やるべき個別作業に落とし込んでいけばいいのです。ただ、最初の段階では試行錯誤が必要で、現在の4年生はまだその段階です。

C.部分の素材は調査データなので、これからさらに調査がすすみ、ノーツが蓄積されるにつれてできていきます。

すでに調査データが少しずつ蓄積されている人は、A.を作っていきます。やみくもに調査するだけではその先になにがあるのかが分からないので徒労感を感じます。A.部分は調査の方針、調査の先になにを分かろうとしているのか、という全体像を示すものです。

B.部分はA.とC.ができてきたら自動的にできます。
D.部分を作るのは直前期(中間発表前の10月後半)でいい。

これから夏休み前までにA.〜C.部分をどんどん試作していきます。ぼろぼろでもいいので、まずA.〜C.の試作版を作り、そこから徐々に全体を仕上げていきます。書かなくてはなにも始まりません。書かないと考えていることになりません。

A.から順番にD.まで仕上げていく、ということはありえません。それぞれのパーツが並行して徐々に出来上がっていきます。C.のデータがなくてはA.の全体像・全体方針は立ち上がってこず、逆にA.の全体像・全体方針がスカスカでは調査の方向がみえず、というように各パートは別パートとの相互関係で育っていくからです。

原稿を書くときに注意するべきは、パラグラフ・ライティングを徹底することです。パラグラフ・ライティングが重要なのは、2つの意味においてです。第1は、構成していくときに有利だということ、第2に文章の書き直しが少なくてすむということ。これによって、卒論完成までの所要時間が2/3〜半分くらいになります。

パラグラフ・ライティングがなにかはwebで調べてもわかりますし、参考書が知りたければ教えます。勉強して知るだけではなく、必ず実践してください。

また、卒論だけではなく、論理的な構成で、誰が読んでも分かる文章を書く技術は、どんな事務仕事にも使えます。エントリー・シートにも。だから、パラグラフ・ライティングには二重・三重の利得があるのです。


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【追記】
パラグラフ・ライティングの基礎については、6月9日のゼミで、以下の文献の該当ページ紹介によって説明しました。

  • 倉島保美『論理が伝わる世界標準の「書く技術」』講談社ブルーバックス、2012年(pp.26-32)

2015年6月2日火曜日

公的統計資料・報告書リンク集

各自の卒論調査に関連しそうな公的な統計資料・調査報告書類へのリンクです。随時追加していきます。

総務省統計局

文部科学省

内閣府

経済産業省関東経済産業局

国立国語研究所

東京都教育委員会

弘前市

2015年5月8日金曜日

「農村社会史」とは

大学院の「農村社会史」はすでに3回分の講義が済んでいます。「農村社会史」というなまえの講義が開講されている大学は、多くはありません。なにをやるかということで、最低限決めてあるのは(1)「日本国内」の農村について中心的に扱うということ、(2)「戦後」を中心に、場合によっては「明治以降」の農村と農村研究について扱うということです。

「史」となまえがついているからといってこの講義は「歴史」の勉強をしようというのではありません(私は歴史学の専門家ではありません)。現在の農村部の地域社会を社会学的に理解するための知識を学んでいこう、というものです。社会とは、それがどのような人間集団であれ、歴史をもっています。歴史があるなら、その社会独自の規範があり、そうした規範があるからその社会で特有の行為に対する解釈が成り立つのだ、というのは社会学の講義でも繰り返し述べてきた基本です。

で、農村部というのはとくに歴史が長く厚く、現在の状況を理解する土台として歴史的に成立して来た「構造」なり「規範」なりを知らなくては理解できない。そのための最低限の知識を勉強していこう、というのが目的です。

そんなわけで、手始めに社会学的にムラ(村)を理解するための基本であるイエ(家)という制度について勉強しています。源流は民俗学を始めた柳田國男ですが、その源流から農村社会学の流れを作ったのが有賀喜左衛門、福武直、鈴木榮太郎、喜多野清一といった面々。前回読んだのは福武直が敗戦直後に調査し、出版した書物のなかの論文「東北型農村と西南型農村」でした。
  • 福武 直[1949]「東北型農村と西南型農村」、福武直『日本農村の社会的性格』、東京大学出版会、pp.69-115
タイトルが示す通り、この論文は岩手県と岡山県の農村社会を、イエ制度、とくに本家ー分家制度の「実態」比較に着目して書かれたものです。それまで、日本の農村社会が全国ひとくくりに論じられており、地域別の類型化がすすんでいなかったからです。

そのほか、講義でも解説しましたが、これが書かれた背景には当時のGHQが主導したといわれる農村の「民主化」が問題意識としてあります(論文中にはこれはそれほど明確にはされていませんが)。ちなみに戦後の農村民主化とは、農地改革、農業協同組合事業、生活改善事業3本としました民主化がすすんでいるはずが、実態をみてみると「封建的遺制」つまり封建的な地主-小作制度の残存がみられる、等々がその問題の捉え方です。

この論文の表面である「東西比較」の奥に隠れて一貫しているのは、「実態」をベースに当時の農村社会を理解し、それまで学説が築き上げて来た「型(model)」や民主化という「制度・政策」との差異を問題にする、という議論の作り方=【理念型と実態との差異、制度化と実態との差異から〈社会〉の動きをみる】です。こうした現地調査に基づく事例研究での議論の作り方も、文献を読みながら学んでいってほしいことです。

次回からはムラのなかでの社会関係、相互扶助について勉強しますが、イエについてもっと勉強したい人は以下の文献も読んでみてください。

  • 有賀喜左衛門[1971]「家の歴史」、『有賀喜左衛門著作集(11)―家の歴史・その他』、未来社
  • 鳥越皓之[1993]『家と村の社会学(増補版)』、世界思想社

有賀[1971]のほうは原典(古典)的な文献で、農村地域をフィールドに修士論文を書こうという場合には必読。ちなみにこの「家の歴史」が最初に出版されたのは1965年、調査はさらに古いです。鳥越[1993]はやさしい概説書で、この講義の副読本的な位置づけです。

また、初回でとりあげた以下の論文は「フィールドワークもの」ではありませんが、人口データを使った実証的研究です。書かれている内容もたいへん勉強になりますし、論文の構造自体も分かりやすいので、論文とはこういう展開で書かれるものだ、ということを学ぶためにも何度か読みかえしてみるとよいと思います。

  • 平井晶子[2003]「近世東北農村における『家』の確立ー歴史人口学的分析」、『ソシオロジ』47巻3号、pp.3-18

―というわけで、この講義は歴史の講義ではないけれど、歴史的に成立した規範や制度についても勉強する、歴史的制度を参照しながら現在をみていくんだという説明でした。

この講義では日本のことを中心的に扱うということもあって、英語文献は扱いませんが、さいごに少しだけ英語の勉強を。じつは、講義には英語のなまえもつけられています。でも「history of〜」みたいななまえはつけていません。私の独断で、「Agrarian Studies」となっています(シラバスにも、出てない…)。でも、根拠がないことではありません。米国のYale大学のAgrarian Studiesプログラムのページがそのコンセプトを紹介しています。みじかい英文なので、これをちょっと読んで、イメージしてみてください。

2015年5月7日木曜日

大学院生のみなさんへ

今年度からは、大学院の講義も受け持ちます。2015年度は質的調査分析(前期、オムニバス)、農村社会史(前期)、北東北研究(前期、オムニバス)、地域社会学(後期)です。

大学院生に向けて書いたエントリ記事もときどきあげていきますが、それほど頻度は高くないと思います。ただ、もともと学部学生のために書かれたものでも、大学院生のみなさんにも役立つことはあります。同じ記事に学部のゼミや講義と大学院のラベルが重ねて貼られているのはそういう理由です。

大学院生は、自分で独自の調査をすすめ、成果(修士論文)を仕上げることが最終目標です。この目標を強く意識して、そのために「自分の場合は」どのようなスキルを身につける必要があるか。これをつねに考えて、講義などを自分に引き寄せて利用・消化していってください。

ただ講義を座って受けているだけでは、時間のムダです。できるだけ受講者のみなさんにひろく使える知識やスキルを伝えて行くつもりですが、極端に言えば自分に必要のないところは聞かなくていい。そのためにも自分の最終目標になにが必要かは強く意識すべきでしょう。

最終成果とそこにいたるプロセス開発が、大学院でのみなさんと教員との共同作業なわけですが、ほんとうにやりかたは「それぞれ」なので、みなさんからの積極的な発信がこちらになされるかどうか(そのための勉強が各自できるかどうか)が分かれ目です。がんばってください。