2017年4月19日水曜日

インタビューの教訓、いくつか

昨日の3年ゼミでは、インタビュー練習も兼ねて、卒論でなにをするかについて3人1組(聞き手2人、語り手1人)でインタビューしました。あくまで、現時点での卒論テーマを探すインタビュー、そのための課題発見のためのインタビューです。ゼミの場では時間のために言い切れなかったのですが、昨日みなさん自身が言っていたことも含めていくつか教訓があると思い、以下に記しておきます。来週以降に活かしてください。

A.インタビュアー(聞き手)

  • 上からいかない。
  • とにかくまずは「現時点で」思っていることを正直に話せばいいんだな、という気にさせる。インタビュアーが自分のことをいろいろ話すというのもひとつの有効法。
  • ゴールまで直線を狙いすぎた質問を連続させない。卒論の調査テーマについてのインタビューだ、ということはお互い分かっている。スタートは「調査テーマを教えてください」でもいい。しかしそこから先、「なにを調べようとしていますか?」「具体的には何を?」といった詰問調になるのは上手じゃない(上から気味)。もともと現時点では答えるのが難しい質問なのだから。「例えば〜」みたいにインタビュアーのほうから例を出してみるのも有効。
  • [参考]インタビューは、相手によってやり方も変わる。たとえば、聞き手と語り手のあいだの知識・経験に明らかな差がある場合と、ほぼ互角である場合。いまやっているのは後者。
  • 通常のインタビューでは相手の経験や考えを聞くのが目的なので「議論」のようなことはしないが、今回の場合は多少の議論になってもいい。例えば、答えのなかでわからない点があったら尋ねる、相手の話してくれたことにあえて「こういう場合はどう調査するんですか?」などの反問を返す、など。
  • 一方で、ほとんどの場合はまだ卒論についてあまり具体的には考えられていない。迷っていたり困っていたりする場合もあるので、なにが難しい点だと思っているかを聞くのも、課題発見になるのでいいやり方だ。
  • 質問とやりとりを重ねていくことによって、語り手の論点が絞り込まれていく、調査の具体的なポイントが分かっていく、あるいは調査上で無理っぽい点がわかっていく、など最初は語り手のなかではっきりしていなかったものごとが、掘り下げられたり具体化していったりすることが、望ましいインタビューのイメージ。
  • あるていどやりとりがすすんだ時点で、まとめを入れてあげるとお互いに整理される。インタビュアーは、ときどき司会の役目もつとめることになる。

B.インタビュイー(語り手)

  • 上からいかない。基本的にこのセッティングは聞き手のほうが大変。やりとりに貢献しようという姿勢を忘れずに。
  • 難しいコトバを使わない。平易なコトバでかざりのない説明をする。
  • 誰かに言われていること(通説など)と自分の視点や見解とを区別して、どちらも説明する。
  • それらしい答えをなんとなく答えるのではなく、自分が考えたいことを伝わるように説明するようにがんばる。どう答えていいか分からない場合は質問者に、なにについて・どのていど具体的に答えるべきなのか、などその先の展開に貢献する方向の逆質問なら可。
  • 答えに困るのは、勉強していないからというだけではなく、卒論にとりくむ当事者にまだなりきれていないから。当事者スイッチを入れよう。スイッチを強制的に入れるために、どんどん宿題を出してもいいんですが…いまはやめときます(笑)。
  • 分かってるフリ、知ってるフリのような体裁を整えるのはまったくムダ。むしろ分かっていない点をはっきりさせる、無理な点をはっきりさせる、どこに絞ればいいかをはっきりさせることだけが重要。