2017年12月27日水曜日

事例の解説を作文する

観察、聞き取り調査、出来事の詳細などについて、自分が扱いたいものごとの現実でのあらわれかた、聞き取りデータのなかの語られ方(じっさいの語りの一部分)など数量化して示すことの難しいものごとや語り手の意識を、事例として示します。事例を示すことのメリットは、現実社会やそこに生きる人の手触りある質的なデータを生き生きと示せることです。

事例は基本的にどのような示しかたになっているか、よい事例の示しかたがどんなものかについては、なんでもいいので事例が載っている社会学・人類学の論文をみてみることが必須であり近道です。講義や実習、ゼミで参照した論文、卒論集、参考文献で自分がみた論文の事例など、数多くの事例の示し方をみておくと自分で事例の入った論文を作るコツを掴めます。

使用上の注意点:
以下の①〜⑥をひととおり読み、全体の工程を理解しイメージしてから作業をはじめる。全体を読まずにいきなり①からやっていかないこと。よくわからないときには、ゼミや実習などの友だちに聞いて相談しましょう。

① どのようなインタビュー聞き取り、あるいはどのような観察調査をして、それらのデータを得たのか
② そのデータを集めた目的、どのような結果の予測や仮説(見通し)があったのか。なにを分かりたいためにその聞き取り/観察をしたのか
③ 得られた聞き取り(語り)データ、観察データのなかのどのような部分を抜き出して囲い内に示したのか、その抜粋の方針を書く。囲い内にアンダーラインを施した箇所があれば(あったほうがよい)、どのような基準に基づいてアンダーラインを施したのか、その着目点を明らかに
④ 事例データ(囲いの中)について、詳しく読解する。テキストデータの表面を読んだだけでは分からないニュアンスなどの補足解説。たとえば聞き取りデータなら、囲いの前後でインタビュアーとのこういうやりとりがあって、そのあとでこの語りが出てきたという前後文脈説明、あるいは語りのなかに出てくる言葉で読者は分からないローカル・タームや人物・場所の解説
⑤ 個別の囲いデータ(観察/聞き取り)についての説明を書き、複数の囲いデータについて同様に説明したあと、それら複数の語りデータ、あるいは語りデータとほかのデータとの組み合わせから、総合してなにが言えるのか
⑥ 当初②の結果予測・仮説および着目点に照らしてみれば、どうだったかという考察

これらの①〜⑥についてのていねいな解説文を作文しましょう。