これは論文を書くときの難関のひとつですが、基本的に以下の3つだけです。
① 文献をみつける
② 内容を読解する
③ 自分の関心との関係をはっきりさせる
①は、以前に紹介したように、webサイトを使っていくらでも探すことができます(例1、例2、例3)。でも、安易にやっていてもみつかりません。まず、検索語は?
検索語の見当をつけるには、自分の関心につながるものごとをkey wordにして把握しておけばやりやすくなります。最初は、みんな調査対象(見たいモノ、取り上げたいトピック。例:「ゲーム」「ファッション」)で検索しがちです。本来は「テーマ」(そのモノやトピックを通して考えたいこと)で検索すべきなのですが、はじめからテーマを把握している人はほとんどいないからです。
ここには、卒論ゼミで最初に挙げられた関心ある対象と、主題的関心、それに合った調査法との関係を記しています。最初に浮かんだ対象やトピックをみることを通して、考えたいことはなにか、難しく考えないで、言葉にしてみてください。
たとえば、農産物直売所への出荷は、出荷者さんにとって農協への決まった品目の大量出荷と違って、自分の目の届くコントロール範囲内で回っている小さな商いです。何を出すか、いくらの値段で出すかも出荷者さんが決めます。こうした小さな商売の面白さとはなんだろうか?
ということに、漠然と興味があったとします。もちろんこれも最初は「直売所ってスーパーと比べてなんか独特、でもなにが独特なんだろう」というようなもっと漠然とした直感かも知れません。さて、検索語はなんにしますか?たいていの人は「直売所」(=対象)でサーチします。最初はそれでいい。しかし、かりにそこで、全国の直売所の売り上げや店舗経営についての論文が続々とヒットしたとしましょう。
ここで注意。ヒットした論文を片っ端から読んでいくほど時間は無限ではありません。論文のタイトル、key words、アブストラクト(要約、摘要)があり、それらだけをチェックして自分の関心とマッチするかどうかを点検していきます。このとき、なにかある(気になる!)と思った内容やkey wordsは手もとのメモに残しておきます。
さて、しかし直売所の「経営」には関心のポイントはありません。そこで、例えば出荷者さんの目線での直売所の商いが「対面性」や「記名性」に基づくものだと気づくかもしれません。農協に出荷して終わりではなく、自分の商品を買う人と対面したり、商品には自分の名のラベルが貼られていたりします。ヒットした論文のなかから、そうした関心にかするものがあれば、そこから話はすすみます。少ししか見つからないとしても、それは他人の見つけていない鉱脈をみつけたということかもしれません。
まったくみつからない場合、2つの対策が考えられます。その第1。「対面性」や「記名性」にもとづいた小さな商売という同等の要素をもった、直売所とはちがう対象(社会現象)をさがしてみましょう。たとえば、フリーマーケット(蚤の市)はどうでしょうか。フリーマーケットを検索語にして、論文を検索してみます。そして上のことを繰り返します。良さそうだと思った論文をみつけたら、同じ著者によって書かれた別の論文もチェックしましょう。
その第2。論文検索からいったん離れて、おなじ検索語で(論文に限らない)web全体の検索をしてみる。もちろん全体はおそるべき玉石混淆なので、そのさいは大学(ac.jp)や行政(go.jp)のページにとくに注意しましょう。そうすれば、世の中で、自分のみようとしている対象がどうみられているかを掴むことができますので、ここでもkey wordsをメモっていきます。
こうした作業を繰り返せば、だんだん自分が直売所という「対象」を通して考えたい「テーマ」へのヒントが集まってきます。そうするとしめたものです。
②の論文の読みかたについては、別のところで書きましたので、ここでは省略。ここで言いたいことはひとつ。論文は1本だけではなく、最低3本は用意して読みましょう。
③の自分の関心との関係について。じつはここがいちばん重要なのですが、お分かりのように、この作業はすでに①の段階から手をつけています。みなさんには②の作業量を減らすために①と③をしっかり意識してもらいたい。
自分の関心と、まったくおなじ論文はないと思ってください。みつけた論文のなかでも、どこか自分の追求・深堀りしたいところとは少しずれていたりする場合がほとんどです。まず、どこがちがうかを、メモ・ノートしながら読んで、コトバで掴むようにしてください(ここも参考)。
自分の関心に忠実に、独自のデータをもとにして人を説得していくのが論文です。すでにある論文が似たようなものごと(対象)や関心(テーマ)を扱っているものだとしても、自分が追求したいこととはちがう。とすると、残りは「では、自分独自の関心や目のつけどころ、調査方法などが、なぜ重要なのか」を説明することです。これはやがて「研究の目的」につながっていきますが、ここから先は、ゼミで議論しないと難しいところでしょう。
① 文献をみつける
② 内容を読解する
③ 自分の関心との関係をはっきりさせる
①は、以前に紹介したように、webサイトを使っていくらでも探すことができます(例1、例2、例3)。でも、安易にやっていてもみつかりません。まず、検索語は?
検索語の見当をつけるには、自分の関心につながるものごとをkey wordにして把握しておけばやりやすくなります。最初は、みんな調査対象(見たいモノ、取り上げたいトピック。例:「ゲーム」「ファッション」)で検索しがちです。本来は「テーマ」(そのモノやトピックを通して考えたいこと)で検索すべきなのですが、はじめからテーマを把握している人はほとんどいないからです。
ここには、卒論ゼミで最初に挙げられた関心ある対象と、主題的関心、それに合った調査法との関係を記しています。最初に浮かんだ対象やトピックをみることを通して、考えたいことはなにか、難しく考えないで、言葉にしてみてください。
たとえば、農産物直売所への出荷は、出荷者さんにとって農協への決まった品目の大量出荷と違って、自分の目の届くコントロール範囲内で回っている小さな商いです。何を出すか、いくらの値段で出すかも出荷者さんが決めます。こうした小さな商売の面白さとはなんだろうか?
ということに、漠然と興味があったとします。もちろんこれも最初は「直売所ってスーパーと比べてなんか独特、でもなにが独特なんだろう」というようなもっと漠然とした直感かも知れません。さて、検索語はなんにしますか?たいていの人は「直売所」(=対象)でサーチします。最初はそれでいい。しかし、かりにそこで、全国の直売所の売り上げや店舗経営についての論文が続々とヒットしたとしましょう。
ここで注意。ヒットした論文を片っ端から読んでいくほど時間は無限ではありません。論文のタイトル、key words、アブストラクト(要約、摘要)があり、それらだけをチェックして自分の関心とマッチするかどうかを点検していきます。このとき、なにかある(気になる!)と思った内容やkey wordsは手もとのメモに残しておきます。
さて、しかし直売所の「経営」には関心のポイントはありません。そこで、例えば出荷者さんの目線での直売所の商いが「対面性」や「記名性」に基づくものだと気づくかもしれません。農協に出荷して終わりではなく、自分の商品を買う人と対面したり、商品には自分の名のラベルが貼られていたりします。ヒットした論文のなかから、そうした関心にかするものがあれば、そこから話はすすみます。少ししか見つからないとしても、それは他人の見つけていない鉱脈をみつけたということかもしれません。
まったくみつからない場合、2つの対策が考えられます。その第1。「対面性」や「記名性」にもとづいた小さな商売という同等の要素をもった、直売所とはちがう対象(社会現象)をさがしてみましょう。たとえば、フリーマーケット(蚤の市)はどうでしょうか。フリーマーケットを検索語にして、論文を検索してみます。そして上のことを繰り返します。良さそうだと思った論文をみつけたら、同じ著者によって書かれた別の論文もチェックしましょう。
その第2。論文検索からいったん離れて、おなじ検索語で(論文に限らない)web全体の検索をしてみる。もちろん全体はおそるべき玉石混淆なので、そのさいは大学(ac.jp)や行政(go.jp)のページにとくに注意しましょう。そうすれば、世の中で、自分のみようとしている対象がどうみられているかを掴むことができますので、ここでもkey wordsをメモっていきます。
こうした作業を繰り返せば、だんだん自分が直売所という「対象」を通して考えたい「テーマ」へのヒントが集まってきます。そうするとしめたものです。
②の論文の読みかたについては、別のところで書きましたので、ここでは省略。ここで言いたいことはひとつ。論文は1本だけではなく、最低3本は用意して読みましょう。
③の自分の関心との関係について。じつはここがいちばん重要なのですが、お分かりのように、この作業はすでに①の段階から手をつけています。みなさんには②の作業量を減らすために①と③をしっかり意識してもらいたい。
自分の関心と、まったくおなじ論文はないと思ってください。みつけた論文のなかでも、どこか自分の追求・深堀りしたいところとは少しずれていたりする場合がほとんどです。まず、どこがちがうかを、メモ・ノートしながら読んで、コトバで掴むようにしてください(ここも参考)。
自分の関心に忠実に、独自のデータをもとにして人を説得していくのが論文です。すでにある論文が似たようなものごと(対象)や関心(テーマ)を扱っているものだとしても、自分が追求したいこととはちがう。とすると、残りは「では、自分独自の関心や目のつけどころ、調査方法などが、なぜ重要なのか」を説明することです。これはやがて「研究の目的」につながっていきますが、ここから先は、ゼミで議論しないと難しいところでしょう。