2025年10月2日木曜日

卒論タイトルを考案しよう

いいタイトルは、(すくなくとも教員からみて)なにをしようとしているかが伝わるタイトルであり、惹きのあるタイトルである。

惹きのあるタイトルはあるていどの慣れやセンスが必要なので置いておいて、伝わるタイトルにしなくてはならない。では、なにを伝えなければならないか?それは、研究テーマ、具体的な対象、調査方法である。この3つのほかに重要なものはない。そして、研究テーマと具体的な対象とを混同してはいけない。

なにについて調べているか?→これが具体的な対象である。その調査結果を通して、なにを理解したいのか?→これがテーマである。過去の卒論タイトルの具体例をみてみよう。

TRPGの楽しさと同卓者選び

簡潔だが、ここには対象もテーマも入っている。この人の調査したことはTRPGの同卓者選びだ。それを通してなにが理解できるのかというとTRPGの楽しさであり、これがテーマだ。このタイトルは「TRPGの楽しさを左右する重要な事項は同卓者選びなのである」という、著者の主張を簡潔に伝えているという点で優れている。

ひとりっ子の親子関係:周囲の人間を介したステレオタイプの影響

この場合はややわかりにくいが、対象はひとりっ子の親子関係で、テーマはサブタイトルそのままだ。収集された調査データはひとりっ子の親と子に経験談である。そこから、ひとりっ子への周囲のまなざしがどのように意識されているかを分析している。このタイトルもやはり、「ひとりっ子の親子関係には、周囲の人間のステレオタイプが影響する」という著者の主張を伝えている。

家事・育児に関する権力関係と意思決定プロセス:乳児を持つ夫婦とその家族を対象にして

この場合はなにが対象でなにがテーマか、もうわかりますね?「家事・育児に関する意思決定には、夫婦やその家族のあいだの権力関係が関係する」というのが著者の主張である。

さて、あなたはなにを調べていますか?なんについての調査データをあつめていますか?それを言語化したものが対象。それをとおしてなにを理解したいですか?あるいはあなたのレビューした先行研究にはどのようなテーマのものがありますか?そこからテーマがわかる。テーマと対象とをもちいて、あなたの研究での予想される結論や主張がわかるようなタイトルをつくりましょう。

なお「方法」については、とくに斬新な方法を工夫した、とか、先行研究とはまったく異なるアプローチによる調査だ、などアピールしたほうがよいことがあればタイトルに入れればよく、そうでなければマストではないと考えてよい。