インタビュー聞き取り調査のあとに、どういう作業が必要なのかをまとめました。この場合、調査の現場ではメモをとり、調査協力者(話者)の許可を得て録音データがあるものとします。
1.網羅的な箇条書きの作成
自分の現場でのメモ書きをもとに、じっさいの話の流れ・順番にしたがって、箇条書きを作成する。
- 話された話題を細かく分け、もらさず網羅的なものを作成するのが要点。
- ひとつひとつの箇条書きは、単語ではなく2行程度の文で。内容が口頭で再現でき、かつみた人もあるていどイメージしやすい。
- たとえば、1時間の聞き取り調査であるていど密な内容なら15-20程度の箇条書きになるはず。
- 原則、録音データはこの時点で聞き直さず、自分の記憶にたよって作成してみること。もし1コマ分の時間を使っても思い出せないときは、いちど通しで録音データを聞きなおし(聞きながら文字起こしはしない!聞くだけ)、再度チャレンジすること。
2.前後のコンテンツの作成
以上の網羅的な箇条書きをつくったあと、以下のようにその前後のコンテンツを加えていく。
(1)この調査の目的
(2)聞き取りの日時、場所、話者のプロフィル
(3)網羅的な箇条書き
(4)この聞き取り調査からわかったこと、気づいたこと、考えたこと
なお、このとき(3)網羅的な箇条書きの内容を、3-5つのグループにわけ、それぞれのグループに見出し(なまえ)をつけておくとなおよい。
3.レジュメの作成とゼミでの議論
調査初心者の2年生のあいだは、上の2.のようなかんたんなレジュメを調査報告として、翌週のゼミで示せばよい。ゼミではおもに、網羅的箇条書きのそれぞれについて、調査にとってどのような意味があるのか、どの項目がより重要そうなのか、それはなぜか、などを議論する。
4.ゼミでの報告のあと
調査目的との関連で、とくに興味深い・重要そうな項目があれば、その箇所の録音データをもとに文字起こしをおこなう。文字起こしをおこなった内容のうち、とくに重要な部分には下線を引く。下線部の意味、ニュアンスをまず話者の主観的目線から説明し、つぎにこの卒論の調査目的にとってどのような意味で重要なのかを説明する。
ここまでの作業を2-3回繰り返せば、調査全体の目的が自分でだんだんコトバ化できるようになってくる。これでやっと、卒論調査レジュメらしい資料ができるようになる。